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府医ニュース
2025年9月3日 第3119号
大阪府警察医会(藤江博会長)は7月12日午後、「令和7年度通常総会ならびに第1回学術講演会」を大阪府医師協同組合本館で開催し、同医会員ら約30人が参集した。
和田正彦・同医会副会長が司会を務め、藤江・同医会長があいさつ。警察医の人材不足と高齢化といった課題に触れ、「警察医は華やかではないが誰かがやらなくてはいけない仕事」と語り、改めて会員の尽力に謝意を表した。
引き続き、馬渕洋一・同医会副会長が、6年度会務・会計決算を報告したほか、7年度事業計画案・会計予算案を上程し、いずれも承認された。新会員を紹介した後、学術講演会に移った。
学術講演会では、佐藤貴子氏(大阪医科薬科大学法医学教室教授)が、「法医学の現場から――解剖から公判まで」と題して登壇した。佐藤氏は、我が国の主な死因である「老衰」が急増していると報告。医学的には死因の一つに認められているが、明確な判断基準はないと述べた。その上で、日本において「老衰」が使用される理由として、これまで支えてきた家族に「天寿を全うした」と前向きな印象を与える場合が多い点を挙げた。
次いで、事例を基に解剖所見や検査所見を解説。留意点や特徴に加えて、裁判員制度における課題を取り上げた。解剖写真を見た裁判員がPTSDの発症を訴えたことから、遺体や傷(刺激証拠)の写真の取り扱いには注意が必要だと促した。一方で、刺激証拠のイラスト化や血の色の差し替えなど加工された証拠写真では、現状を伝えるには限界があると指摘。法医学に携わる立場から、「事実を伝えていく大切さ」を説いた。