ヒロシくん

　連日、35度を超えるような猛暑です。暑さのためか（言い訳です）、当欄の締切日が迫るのになかなか取り掛かれないでいた時、記憶の底から、幼稚園で同じクラスだったある男の子が浮かび上がってきました。
　数十年前の私が子どもの頃は、幼稚園は４歳で入園し、２年間行くのが一般的でした。
　幼稚園では、数人ずつ机を寄せて班を作っていました。名古屋の幼稚園に入園して間もなく、私は、同じ班のヒロシくんにいじめられるので、幼稚園に行きたくないと言い出しました。
　どのようにいじめられていたのか私が覚えていることは、その幼稚園の制カバンはランドセル型でしたが、「留めていなかったランドセルの蓋をパタパタされた」、「室内で私の方にボールを蹴ってきた（蹴ってきたと言うより、転がしてきたという方が近い）」の２つだけです。
　入園したばかりで行きたくないと言われ、母は困っただろうと思います。母と担任の先生の間でどのような話し合いがあったのか、また、ヒロシくんの親御さんにも言ったのかは分かりませんが、私とヒロシくんは、別々の班にされました。
　その後の経緯は全く覚えておらず、また、５月28日（第3109号）の本欄に書いた「ちぃちゃん」のようにヒロシくんに仕返しをした記憶もないのですが、やがて私とヒロシくんは、一緒に遊ぶ約束をするまでになりました。これには母も驚いていました。
　実際に幼稚園の外でも一緒に遊んだのかは覚えていませんが、ヒロシくんの家の牛乳屋さんの店がボンヤリとした記憶に浮かんできます。
　私は、幼稚園の１年目を終えると大阪に引っ越したので、ヒロシくんのその後の消息は分かりません。（瞳）