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医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2025年8月27日 第3118号
大阪府医師会は7月17日午後、大阪市内のホテルで7月度郡市区等医師会長協議会(納涼)を開催した。当日の議題が協議された後、「かかりつけ医機能報告制度について」と題し特別講演を実施。協議会終了後には、郡市区等医師会長と府医役員らとの懇親会も行われた。
会長協議会は栗山隆信理事が司会を務め、加納康至会長があいさつ。府医からの連絡事項が伝えられた後、特別講演へと移った。
特別講演では、加納会長が座長を務め、講師は大雨による公共交通機関の遅延のため、冒頭、城守国斗・日本医師会常任理事に代わり茂松茂人・日医副会長が登壇。「骨太の方針2015」から始まったかかりつけ医機能に関する議論の流れを概説した。
かかりつけ医機能報告制度の目的は、地域の実情を踏まえて各医療機関が機能や専門性に応じて連携しつつ、自らが担うかかりつけ医機能の内容を強化しながら、地域に必要なかかりつけ医機能を確保することだと説明。そのためにも、多くの医療機関に参画してほしいと訴えた。
引き継いだ城守・日医常任理事は、当初、1号機能の報告事項について、内科・外科を中心とした症状によってかかりつけ医機能を提示する財務省案が優勢だったと回顧。この案では、症状に対する診療の可否で医療機関を分断し、フリーアクセスを制限する危険性を含むことを丁寧に説明して、なんとか回避できたと明かした。一方で、5年後の見直し時に、制度への参画医療機関が少ない場合は、「地域を面で支えておらず、制度が機能していない」と判断されると指摘。かかりつけ医機能を強く持つ医療機関を認定・登録するような規制的な流れが強くなると警鐘を鳴らし、制度への積極的な参画を要請した。
1号機能報告については、▽かかりつけ医機能に関する研修修了者と総合診療専門医の有無▽17の診療領域と40の疾患からそれぞれ一次診療を行うことができるもの▽医療に関する患者からの相談への対応が可能であること――などについて院内掲示を行うことで、「かかりつけ医機能(1号機能)がある医療機関」とされると説明。主に特定機能病院以外のすべての医療機関にとって、都道府県への報告は義務であると呼びかけた。次いで、1号機能を有する場合にあわせて報告が必要となる2号機能報告を解説。各事項の有無の回答であり、一つでも「有」があれば、「地域においてかかりつけ医機能の確保に関わる体制を有している」とされるとした。
そのほか、G-MISを用いた報告手続きや、かかりつけ医機能報告の対象となる研修などを説示した。
最後に、地域を面で支えるかかりつけ医機能の実現に向け、地域の医療資源を見える化した上で、行政と協議・連携する重要性を説き、医師会はその要だと力を込めた。
第27回参議院議員選挙は、7月20日の投開票まで残すところわずかとなった。今回の選挙は、医師会の将来をも占う極めて重要な選挙であり、釜萢敏先生を何としても国会に送り込まなければならない。「骨太の方針2025」に記載されたとおりの財源を確保するためには、医師会の組織力を示す必要がある。最後の最後まで働きかけをお願いしたい。
8月より「X(エックス/旧ツイッター)」を用いた広報活動の開始を予定している。会内行事の紹介や上手な医療のかかり方などについて、府民や会員に向けて発信していくので、ご期待いただけると幸いだ。
現在、大阪府において2つの支援事業の申請受付が実施されている。無床診療所に18万円を交付する「生産性向上・職場環境整備等支援事業」と、無床診療所に3万円を支給する「大阪府医療機関等物価高騰対策一時支援金事業」だ。物価高騰対策一時支援金は、医師会をはじめとする医療関係団体からの要望により策定された支援メニューであり、会員の先生方への周知についてご協力をお願いしたい。
本日の特別講演は「かかりつけ医機能報告制度」をテーマにしている。2040年を見据えた新たな地域医療構想においては、「かかりつけ医機能が発揮される制度整備」として、地域を面で支える上で、具体的な医療機能の過不足を各地域において議論することが重要だ。本日の特別講演が、先生方のご理解を深める一助になればと期待している。
加納会長のあいさつに続き、郡市区等医師会新会長を紹介。その後、府医担当役員から連絡事項を伝えた。
笠原幹司理事からは、子宮頸がん予防に関する啓発活動について案内がなされた。HPVワクチンは、今年の3月でキャッチアップ接種が終了し、以降は定期接種を推進していきたいと前置き。自治体が夏休みに入る学生に向けて周知を進めることから、これを機に接種を希望する学生が増えることに期待を寄せた。また、大阪医科薬科大学が厚生労働省の指定を受け、HPVワクチン接種に関する相談支援・医療体制強化のための地域ブロック拠点病院整備事業を実施していると紹介。啓発ポスターの活用などを促進した。
栗山理事からは、▽府医創立78周年記念行事および令和7年度健老会の開催▽「日医最高優功賞受賞記念府医会長賞」被表彰団体推薦依頼▽毎月勤労統計調査(第二種事業所、特別調査)への協力(依頼)▽7年度国勢調査協力(依頼)▽8月度行事・会合日程――が説明された。