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令和7年度 健康スポーツ医学再研修会

府医ニュース

2025年8月20日 第3117号

運動による心身への影響などを解説

 大阪府医師会は6月28日午後、府医会館で令和7年度健康スポーツ医学再研修会を開催。ウェブ併用で、府医所属の日医認定健康スポーツ医ら253人が受講した。

 前川たかし理事はあいさつで、健康スポーツ医が地域住民の健康維持に引き続き寄与することに期待を寄せた。
 まず、井上幸紀氏(大阪公立大学大学院医学研究科神経精神医学教授)が、「運動がメンタルヘルスに及ぼす好影響・悪影響」を解説した。個々の状態に応じた中強度の運動が精神的健康につながると説示。過剰な運動による「オーバートレーニング症候群」「バーンアウト症候群」「うつ状態」は、真面目な人ほど陥りやすいとし、本音を吐露できるパートナーの必要性を説いた。スポーツ外傷では、患者の気持ちに配慮したリハビリメニューを推奨。「悲嘆のプロセス」を概説し、半年以上現実を受容できない場合は、病的な悲嘆として早期に専門家に相談するよう促した。
 次いで、横山久代氏(大阪公立大学都市健康・スポーツ研究センター教授)が「シニアのアクティブライフを支えるフレイル・転倒対策」をテーマに登壇。フレイルには、▽身体的▽社会的▽心理・認知的――要素があり、適切な介入でプレ・フレイルや健常な状態に戻ると言明した。また、近年の調査結果から、転倒への不安により外出が減ることでさらにフレイルが進むと指摘。不安感に対する取り組みが肝要とした。そのほか、運動プログラムや社会的つながりの大切さに触れ、多面的に対策を立て、効果を検証しながら今後につなげたいと語った。
 続いて、廣瀬毅人氏(大阪大学大学院医学系研究科整形外科特任助教)が、「肩前方不安定症の治療マネジメント――外来診療から手術治療まで」と題し講演。はじめに、①問診②身体的所見③画像検査――を詳説した。不安定性に対する有用な検査として「アプリヘンションテスト」と「リロケーションテスト」を紹介。あわせて、X線は正面と肩関節の側面からの撮影で見落としを防ぎ、CT画像は患側も撮影して両肩を比較しながら骨形態・欠損を評価するようアドバイスした。根治には手術加療を要するが、術式は患者の背景や病態に合わせた選択が重要と結んだ。