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府医ニュース
2025年8月20日 第3117号
今回の参議院議員選挙では、日本の社会が変わりつつある姿をさらに実感した。私自身も気合いが入っていたので、期日前投票でしっかりと一票を投じたが、SNS合戦があったことはよく知らない。実際ウェブで選挙以外のことを検索しても、政治関連の動画の投稿が目に付いたが、何か雲の上では壮大な空中戦が行われていることを感じた。
若い層が主体的に使う道具が選挙で使われたことは、日本の歴史にとって、無視できない意味を持つのかもしれない。私は大阪を活動の場とはしているが兵庫県人である。当然前回の知事選には多大な関心を持っていたが、土壇場でSNSの威力を知ったのである。怪しげな情報が飛び交うSNSは、非難するべきなのか、取り込むべきなのか。いい加減な道具と言い捨てても相手にされない年齢には達しているが、気が付かないままチリが積もって山となっているのは気になる。
この風潮を受け入れることになったのは、以前どこかで読んだフランスのマルキ・ド・コンドルセ(1743-94)という思想家の考えが、ふっと頭の中に出てきたからである。『個々の判断が不完全でも、十分に多数の独立した判断があれば、正しい判断に収束する』という理論である。しかし今回の選挙では、SNS上の情報環境は必ずしも独立や無偏見とは言い難く、さらにSNSの利用率は年齢層や地域で偏りがあり、特に高齢層では私を含め、新聞・テレビに依存する人が多い。従ってSNSで見える「民意」は全体の縮図ではなく、特定層の意見が強調されているに過ぎない可能性があるため、今後検証していく課題は多い。仮にそうだとしても、私達はこの新しい情報の風にどう向き合うべきか、引き続き考え続ける責任があると思われる。(晴)