TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

調査委員会だよりNo.127

令和6年度診療報酬改定の影響について

府医ニュース

2025年8月6日 第3116号

その1:生活習慣病管理料Ⅰ、Ⅱ

 本年3月に調査委員会が行った会員意見調査から各医療機関の経営状況について問うたところ、「厳しい」と答えたのは全体の69.3%(診療所長67.6%、病院長87.7%)、「順調である」との回答は21.6%(診療所長22.6%、病院長10.0%)であった。各医療機関ともコロナ前に比べて経営状況は悪化傾向にあり、前回の診療報酬改定もその一因であると思われる。
 そこで、今回から数回にわたり診療報酬改定の影響について考察したので報告する。生活習慣病管理料Ⅰ、Ⅱについて診療所長全体では、否定的意見55.1%、肯定的意見4.6%、どちらでもない15.5%であった。内科系診療所長に限ると、否定的意見75.5%と増加し、肯定的意見4.1%、どちらでもない16.5%であった。
 主な否定的意見(複数回答)として、「療養計画書の作成労力が甚大である」(77.9%)、「紙ベースでの手交は電子化の流れに逆行している」(56.2%)、「4カ月に1回の作成は期間を長く設定すべき」(55.2%)、「次回改定で廃止すべき」(51.8%)、「点数をもっと増やすべきだ」(40.1%)が挙げられた。「患者への指導がより明確にやり易くなった」という肯定的意見は少数であり、全体の0.02%にとどまった。
 算定状況は、「おおむね生活習慣病管理料Ⅰを算定」9.9%、「おおむね生活習慣病管理料Ⅱを算定」52.3%、「患者によりⅠとⅡを使い分けている」28.1%であり、内科系診療所では半数がⅡを算定しているようである。算定に当たっては各医師の考え方も影響するものではあるが、内科系診療所においては否定的意見が多く、次回改定で考慮すべき点も多いものと考えられる。

文 岩本 伸一(東成区)