
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2025年8月6日 第3116号
◆フランス・スペイン国境にリゾートホテル。元は大戦前に建てられた豪華な駅舎。真新しい内装の中、駅舎時代の写真を飾る額には古びた窓枠を再利用。
◆駅は、対戦中ナチスが略奪した財で、スペインから武器を買い付ける場であった。中立国のスペインが、人々を苦しめる戦争に秘密裏に加担していた場であった。古びた窓枠の中の古びた駅舎の写真は、取り返しのつかない歴史を伝える。
◆弊院には、築90年になる精神科病棟がある。もはや使用していないが、スペイン風外観で、市登録文化財として保存している。ただ、鉄格子の窓はあえて残している。往時の入院患者さんは、鉄格子ごしにどのような思いで外を眺めておられていたのだろうか。
◆近年の精神科病棟では鉄格子窓は皆無である。精神医療に携わる人々が、患者さんへの思いを高め、自らの姿を改めてきた。しかし、現在の姿が未来にも正しいとは決していえない。日々改めねばならない。鉄格子窓は患者さんではなく、医療が自らの姿を観るために残している。(翔)