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骨太の方針2025が閣議決定

府医ニュース

2025年8月6日 第3116号

医療・介護業界分野の物価・賃金上昇に対応

 令和7年6月13日、政府は「骨太の方針2025」、同時に「新しい資本主義のグランドデザインおよび実行計画2025年改訂版」を閣議決定。予算編成全体では、6年度から9年度まではこれまでの歳出改革努力を継続しつつ、全世代型社会保障の構築に向けては医療・介護・障害福祉等の公定価格分野の賃上げ、経営の安定、離職防止、人材確保を図る必要性に言及し、コストカット型からの転換を図る方向性を打ち出した。
 社会保障関係費について、具体的には「高齢化による増加分に相当する伸びに、経済・物価動向等を踏まえた対応に相当する増加分を加算する」となっている。「高齢化の伸び等の自然増から歳出改革努力で、高齢化の伸びの範囲内に抑える」という従来の目安対応の減算の記載から脱却した。なお、注釈には、社会保障関係費の伸びの要因として、高齢化と高度化が存在する、と記載された。
 そのほか、持続可能な社会保障制度確立のため、盛り込まれた項目を列挙する。▽現役世代の保険料負担を含む国民負担の軽減▽OTC類似薬の保険給付の見直し▽地域フォーミュラリの全国展開▽適正な病床削減▽医療DX推進による医療の効率化と質の担保▽年齢を問わない応能負担の徹底▽がんを含む生活習慣病の重症化予防とデータヘルスの推進▽高額療養費制度について患者関係団体から丁寧に意見聴取し、7年秋までに方針決定▽8年度をめどに「標準的な出産費用の自己負担無償化」▽妊婦健診における公費負担の促進▽「出産なび」の機能拡充▽安全な無痛分娩▽小児周産期医療体制の確保(医療機関の連携・集約化・重点化)▽リフィル処方箋の普及・定着▽保険外併用療養費制度の対象範囲の拡大とそれをカバーし公的保険を補完する民間保険の開発▽医師の働き方改革の推進▽12年までに概ねすべての医療機関に電子カルテの導入を目指す――などが盛り込まれている。介護分野では、▽介護・障害福祉分野の職員の処遇改善・業務負担軽減▽医療・介護DXやICT▽介護テクノロジー、ロボット・デジタルの実装▽特定行為研修を修了した看護師の活用、タスクシフト・シェア――などが盛り込まれている。
 日本医師会の松本吉郎会長は、6月22日の第159回日医定例代議員会の冒頭あいさつの中で、「骨太の方針2025」は医師会の要望に沿った形になり、評価できるとした。しかし、選挙の結果によっては、油断できないとして危機感を示した。