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医師・医療関係者のみなさまへ

令和7年度 第1回学校保健講習会

府医ニュース

2025年8月6日 第3116号

発達検査・感染症について解説

 大阪府医師会学校医部会(部会長=宮川松剛・府医副会長)は6月13日午後、「令和7年度第1回学校保健講習会」を府医会館で開催。ハイブリッド形式で実施し、学校医や養護教諭など学校関係者ら約340人が受講した。

 冒頭、森口久子・同部会副部会長(府医理事)があいさつ。本講習会を通して、今まで知る機会の少なかった発達検査や、マスギャザリングで注意すべき感染症への理解を深めてほしいと期待を寄せた。
 講演は2題行われ、久保田恵巳氏(同部会常任委員/学校保健対策委員会委員)と、福田弥一郎氏(同部会副部会長/同委員会委員長)がそれぞれ座長を務めた。
 はじめに、大谷多加志氏(京都光華女子大学健康科学部心理学科准教授)が、「小児科診療・学校保健活動における発達検査の活用」と題して登壇した。京都で開発された乳幼児期に用いられることの多い発達検査を紹介。検査課題を通して、取り組み方の変化(発達)を評価するものだと説明した。検査報告書では、「総合所見」と「求められる支援や配慮」が最も重要な項目だと強調。発達特性は必ずしも検査スコアに反映されるわけではないため、スコアが良い場合もこの項目の記載内容を踏まえて総合的に勘案することが大切だと伝えた。大谷氏は、「持っている力の活用」「環境調整と特性の理解」が支援に必要な観点だと述べた。
 次いで、天羽清子氏(大阪市立総合医療センター小児救急/感染症内科部長)が、「大阪・関西万博開催中!!学校医の先生も知っておきたい輸入感染症」をテーマに講演した。不特定多数のヒトやモノが一定の場所・時間帯に集中する「マスギャザリング」では、熱中症を含む自然災害や犯罪、感染症などの懸念事項が増えると憂慮。注意すべき感染症の発生原因として、▽ヒトの密集(空気感染・飛沫感染・接触感染)▽食中毒▽蚊媒介感染症▽水・下水――などを挙げ、若い人でも死に至ることがあると警鐘を鳴らした。有効な治療薬がない場合に備え事前のワクチン接種や、蚊媒介感染症は蚊に刺されないようにすることでリスク回避できるとし、入念な蚊除け対策を推奨した。
 最後に、海外での感染症や犯罪の情報を提供している「たびレジ」に触れ、各疾患の感染経路などを理解した感染対策を呼びかけた。