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医師・医療関係者のみなさまへ

大阪医科薬科大学「第3学年診断学入門」

府医ニュース

2025年8月6日 第3116号

加納会長が医学生に特別講義

 加納康至会長は5月1日午後、大阪医科薬科大学に出向き、「第3学年診断学入門」において特別講義を実施。「日本の医療制度と医師の業務」と題して講演し、約120人の医学生が受講した。

 まず、日本の医療制度として、保険診療の仕組みを解説。保険者と保険医療機関との「公法上の契約」であり、健康保険法等で規定されるルールを遵守しなければならないと強調した。関係法令や療養担当規則にも言及。診療録の記載・保存は、診療の根拠となるため重要だと伝えた。また、保険診療の禁止事項として、①無診察治療②特殊療法③健康診断④濃厚(過剰)診療⑤特定の保険薬局への誘導――などを列挙。こうしたルールを遵守せず不正・不当の疑いがある場合は、指導・監査の対象になると注意を促した。加えて、▽国民皆保険制度▽現物支給▽フリーアクセス――など日本が誇る医療の特徴を提示した。
 次に、医師の業務を説明。「臨床医としての心がけ」のほか、応招義務やインフォームドコンセント、守秘義務、異常死の届出など診療における留意事項を詳説した。
 続いて、最近の医療情勢として、新たな地域医療構想に触れ、「治す医療」と「治し支える医療」を担う医療機関の役割分担を明確化し、地域完結型の医療・介護提供体制の構築を目指すとの方向性を示した。さらに、医療機関の経営を取り巻く環境は深刻な状況と指摘。診療報酬改定では、物価・賃金の上昇に適切に対応できる仕組みが必要と述べ、社会保障予算に関する財政フレームの見直しを求める声が上がっているとした。
 そのほか、▽かかりつけ医機能報告制度▽医療DX▽医師の働き方改革――などを取り上げた。
 最後に、医師会の役割について説示。日本医師会・都道府県医師会・郡市区等医師会はそれぞれ独立した組織であり、連携を取りながら活動しているとした。医師会は行政のカウンターパートとして、医療現場の声を基に医療政策の提言を行うなどより良い医療の実現を目指していると力説。組織力強化が喫緊の課題と述べ、医師会活動への協力を呼びかけた。