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医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2025年8月6日 第3116号
大阪府医師会・大阪府病院協会(大病協/木野昌也会長)・大阪府私立病院協会(私病協/加納繁照会長)は7月4日午後、府医会館で第1回合同懇談会を開催。それぞれの役員16人が出席した。当懇談会は昨年度、故中尾正俊・前府医会長の意向により、年1回の開催から3回に増やし綿密な議論を重ね、互いの課題について理解を深めた。今年度も3回の開催を予定している。
第1回は、「医療機関の経営状況――『骨太の方針2025』も踏まえて」を議題に、府医と病院協会のそれぞれの立場からの話題提供の後、ディスカッションを行った。
細井雅之理事が進行し、各団体の会長があいさつ。加納康至・府医会長は、当懇談会が大阪府の医療現場の課題や将来の展望を共有する意義深い場になることに期待を寄せた。木野・大病協会長は、病床稼働率が90%を超えても赤字になることは異常事態であり、3団体で声を上げて窮状を訴えていきたいとした。加納・私病協会長からは、医師会と病院団体との連携体制を築いているのは大阪独自とした上で、先達への謝意が述べられた。
まず、加納・府医会長が府医の立場から講演。今年3月に府医調査委員会が実施した診療報酬に関する会員意見調査から、診療所長の回答を中心に紹介した。「生活習慣病管理料」の改定に対しては、療養計画書の作成や今後の段階的な減点の可能性への懸念などを理由に、55.1%が否定的な意見(肯定的な意見は4.6%のみ)と報告。「現在の経営における負担」については、約80%が訴える物価・人件費の高騰による影響のほか、▽人材確保の困難さ▽診療報酬の複雑化▽事務処理手続きの煩雑さ▽患者減少・利益率低下――などが挙げられた。厚生労働省の分析による令和6年度の赤字法人増加の見通しを踏まえ、日本医師会総合政策研究機構が日医A1会員の所属医療機関を対象に、経営実態を調査中だと加えた。また、今後の情報発信として、長期的には国民・府民への広報活動の強化、短期的には政府の財政編成に向けた発信が必要と結んだ。
次に、加納・私病協会長が病院協会の立場から課題を説示した。冒頭、民間医療機関が医療提供体制を支える現状を解説。大阪はそれが顕著だと強調し、日本の都市部では、民間医療機関が地域医療を「面」で支えているとした。一方で、5年度の一般病院の経常利益率はマイナス0.4%となり半分以上が赤字と指摘。50%の病院は30年で借入の返済ができない、一般的には破綻懸念先とされる状態だと危惧した。1月に行った6病院団体による厚労大臣への緊急要望や、3月の日医と6病院団体の合同声明を振り返り、「骨太の方針2025」に言及。社会保障関係費に関して、経済・物価動向などを踏まえた対応に相当する「増加分の加算」が明記されたことは、「医療団体の活動の成果であり120%の勝利」と評価した。次期診療報酬改定に向けて、提言していくと力を込めた。
阪本栄・府医副会長が座長を務め、▽サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホーム▽人材派遣業者▽医療機関の経営状況――などを討議。今後の情報発信のあり方として、大病院と中小病院、かかりつけ医の役割分担の明確化を行うことの重要性が確認されたほか、医療・介護のあるべき姿や大阪特有の実情に即した主張を発信しながら、府民の啓発につなげていくことなどが提案された。