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府医ニュース
2025年7月30日 第3115号
北区認知症高齢者支援ネットワーク連絡会(にこりんく)は3月13日午後、同区民センターで専門職向け事例検討会を開催した。本事例検討会は、認知症を支援する方々に認知症に関するより深い専門知識や支援のあり方を学んでもらうことを目的としている。当日は専門職ら約80人が参加した。
冒頭、主催者を代表して本出肇・大阪市北区医師会長があいさつ。コロナ禍の影響により、独居高齢者の社会的孤立が加速しているとの見方を示した。その上で、認知症を患い支援が困難な事例を基に、様々な立場で話し合い、互いの視点について理解を深める機会にしてほしいと述べた。
事例検討会では、「ひとり暮らし認知症高齢者の権利擁護支援」と題し、沖田裕子氏(NPO法人認知症の人とみんなのサポートセンター)が登壇。意思決定支援や本人の気持ちに寄り添った支援のあり方について検討した。
まず、北区での事例として、タワーマンションで一人暮らしをする80代女性のケースを紹介。結婚歴はなく、要介護1、アルツハイマー型認知症の診断があるとした。地域包括支援センターの初回訪問の際には支援を拒否され、それ以来長年にわたり介入が困難だったと説明。グループワークでは、①本人の気持ちや背景②法律や医療上の重大な意思決定と日常生活における意思決定の違い――について意見交換した。沖田氏は、「認知症になる前になるべく早く自分の意思を決めておくこと」が、一人暮らし高齢者の権利擁護における課題だと指摘。また、障害者権利条約による「選好」という考え方に触れ、認知症の人の意思決定支援においても本人の価値観を大切にすることが重要だと説いた。
最後に、柏井三郎・大淀医師会長があいさつ。意思決定支援では支援者の「共感」に加え、支援される側の「受援力」が求められると述べ、明日からの診療に役立ててほしいと結んだ。