
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2025年7月16日 第3114号
大阪府医師会は3月22日午後、「在宅医療におけるACP研修会」を府医会館で開催。府医会員をはじめ、地域包括支援センター職員や行政職員ら約100人が受講した。
はじめに、前川たかし理事があいさつ。多職種が患者の価値観や人生の目標を理解した上で、ACPを実践し継続的に支えることが重要とし、本研修会がACPの推進の一助になればと期待を寄せた。
座長を川邉正和氏(府医介護・高齢者福祉委員会副委員長)が務め、「患者・利用者の生き方・暮らしに焦点を当てたACP」をテーマに2題の講演を行った。
最初に、池永昌之氏(淀川キリスト教病院緩和医療内科主任部長)が、「現場におけるACPの課題」と題して登壇した。ACPは、将来の医療やケアについて話し合うこと以上に、なぜその選択をしたのかを知る必要があると解説。患者を主体に家族や近しい人、医療・ケアチームで人生における価値観の共有が大切と加えた。また、ACPは意思決定支援の手段の一つであり、最期の瞬間までその人の希望や価値観に沿った医療・ケアを提供することが目的と強調した。一方で、効果、有用性について明確なエビデンスはまだなく、課題も多いと指摘。患者に積極的な関心を持ち、諦めずに関わり続けることが現場の課題と訴えた。
次いで、濱吉美穂氏(沸教大学保健医療技術学部看護学科准教授)が、「ACPを進める中で大切にしたいこと」をテーマに講演。ACPを医療・介護専門職者だけではなく患者にも周知してもらい、理解している人を増やしてほしいと促した。予期せぬけがや病気は誰にでも起こり得るため、代わりに意思を推定してもらう場合に助けになると語った。ACPを進める際は、「思い出を引き出す」ことを肝とし、患者が人生を語れるように問いかけることを推奨。必ずしも結論に至らなくても良く、「何が大事か」「何が良いか」より「何が嫌か」を尋ねると答えやすいとアドバイスした。
講演後は、価値観の多様性への理解や実践力の向上を目的とした「もしバナゲーム」や「ロールプレイ・ワーク」を実施。池永氏は「ACPでは、選択した理由を明らかにする点を意識してほしい」と力を込めた。