
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2025年7月16日 第3114号
前川たかし予備代議員(大阪府/府医理事)は、2021年時点での医療的ケア児は約2万人と2005年の1万人から倍増しているものの、その支援は不十分との懸念を示した。その上で、医療的ケア児とその家族が抱える問題は、家庭のみで解決することはできず、社会全体で取り組むべき問題と言及。包括的な支援体制の充実を訴えるとともに、診療報酬の充実に加え、対応人材の確保、レスパイトや急変時の受け入れ体制の確保が急務であると指摘し、日医の考えを質した。
これに対し、坂本泰三・日医常任理事が答弁。日医内の検討委員会でも診療報酬への要望があり、それを踏まえて検討すると言明した。またレスパイトについては、福祉分野で実施され、医療型が少なく必要な時にすぐに利用できない問題点があるとして、障害福祉等サービス報酬もしくはこども家庭庁の予算で改善を図っていく必要があると述べた。日医としては、関係省庁に現場の声を届け、省庁間をつなげる役割を果たすとした。
重永博予備代議員(滋賀県)は、患者による医療従事者への理不尽な要求やSNSでの誹謗中傷などの行為によって、通常業務が妨害される事例が散見されると指摘。研修会の開催や警察との連携強化などの取り組みなどが進められているが、依然として医療現場では「対応が難しい」との声があると語った。日医では「SNS等での誹謗中傷に対する相談窓口」を設けているが、その利用状況や、患者のモンスターペイシェント化を阻止する取り組みなどを問うた。
藤原慶正・日医常任理事は、同窓口の相談件数は、5月末時点で133件と報告。その内115件(86%)がSNS等における口コミ、ネット上への誹謗中傷などの書き込みに関する相談であったとした。対策としては、地域医師会や行政、警察などとの日頃からの緊密な関係構築が重要だとしつつ、患者・家族との信頼関係の構築にも配慮してほしいと呼びかけた。さらに、今後、往診・訪問診療時の防犯対策に関するサービスも紹介していく予定と明かした。
木下智弘代議員(和歌山県)は、人に感染する動物由来の感染症や人獣共通感染症などに懸念を示し、人と動物、それらを取り巻く環境を包括的に捉えた〝One Health〟という概念が重要だと強調。患者を治療するだけでは不十分で、人と動物と環境の関係改善を図る必要があると述べた。また、災害時においては、ペット帯同による避難所での感染、被災地に残された動物などが感染媒体となる危険性に触れ、日本獣医師会との連携や情報共有などを確認した。
笹本洋一・日医常任理事は、One Healthの考えに基づく新興感染症に関する連携および情報共有については、日本獣医師会と協定を締結し、シンポジウムの開催などの取り組みを行っていると説明。獣医師会は自治体と連携した避難所での動物管理や被災動物の飼育管理について取りまとめており、日医としても獣医師会と連携し、災害の感染症対策に取り組んでいくと訴えた。さらに、学校現場でも獣医師会が関与しているケースもあり、日医としてもさらなる活躍に期待を寄せた。