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府医ニュース
2025年7月16日 第3114号
第159回日本医師会定例代議員会(柵木充明議長〈愛知県〉/定数380人〈欠員2人〉)が6月22日、日医会館で開催された。令和6年度の事業報告がなされたほか、議事には同年度決算および8年度会費賦課徴収が上程され、いずれも挙手多数で承認された。代表質問では、19題の質疑応答が行われ、日医執行部が答弁に立った。
柵木議長が定足数を確認し、議事録署名人2人(馬岡晋代議員〈三重県〉・阪本栄代議員〈大阪府〉)を指名。議事運営委員会委員8人(近畿からは友岡俊夫代議員〈奈良県〉)の紹介がなされた。
松本吉郎・日医会長は冒頭のあいさつで、日医の会務運営への理解・支援に感謝を述べ、医療を取り巻く課題に見解を示した。
松本・日医会長は、はじめに「骨太の方針2025」に言及。日医は、▽経済成長の果実の活用▽「高齢化の伸びの範囲内に抑制する」という社会保障予算の目安対応の見直し▽診療報酬などについて、賃金・物価の上昇に応じた公定価格等への適切な反映▽小児医療・周産期医療体制の強力な方策の検討――の4点を主張し、石破茂首相にも2度にわたり医療現場の窮状を訴えてきたと振り返った。6月6日の経済財政諮問会議で「骨太の方針2025」の原案が示された以降、与党内で日医の要望に沿った議論がなされ、歳出改革による「引き算」ではなく、物価・賃金対応分を加算するという「足し算」の論理になったことが重要なポイントだと評し、次期診療報酬改定に向けた期待を示した。また、日医が求めてきた税収などの上振れ分を活用する視点が盛り込まれたほか、賃金・物価の上昇に応じた公定価格などへの適切な反映も明記されたと力を込めた。
あわせて、補助金対応も不可欠とし、今回の骨太の方針が確実に実施できるよう、7月の参議院議員選挙や7年度補正予算編成、8年度診療報酬改定の財源確保が極めて重要と強調。改定の議論の場で強力なツールとなる「7年診療所の緊急経営調査」への協力を呼びかけた。
そのほか、「組織強化」や「新たな地域医療構想」などについて日医の見解や取り組みを要説。最後に今回の参院選は、「これまでとは異なり、我が国の医療・介護・福祉の未来を問う選挙と認識している」と力説し、理解を求めた。
茂松茂人・日医副会長が6年度事業について報告。6年12月1日時点の会員数は、17万7383人(前年比1450人増)と述べ、組織強化の推進に謝意を表した。
角田徹・日医副会長が6年度決算を説示した。独立監査法人および監事により適切との監査を受けているほか、平川博之・財務委員会委員長が委員会において適正と確認されたと報告。挙手多数で承認された。引き続き、8年度会費賦課徴収について説明。会費額と徴収方法は前年度と同様とし、新たに臨床研修医であれば医学部卒業後5年を経過しても引き続き減免する旨が提案され、挙手多数で承認された。
代表質問では、看護師等養成所運営や有料職業紹介事業に関する質問が多くなされた。近畿ブロックからは、前川たかし予備代議員(大阪府/府医理事)、重永博予備代議員(滋賀県)、木下智弘代議員(和歌山県)が登壇した。関連質問では、笠原幹司代議員と大平真司代議員(ともに府医理事)が要望を伝えた。
午前の最後には、釜萢敏・日医副会長が7月の参院選への決意を表明した。
代表質問終了後、冒頭の松本・日医会長あいさつに対して、福地康紀代議員(静岡県)が質問。これまで日医は要望を中心に政策を主張してきたが、今後は、日医・日医総研が核となって立案し、日本医師連盟推薦の国会議員が政治の場で提案しなければ、適正な診療報酬の確保は困難になるのではと問うた。これを受け松本・日医会長は、日医役員が総動員で医療界の窮状を訴えたことで多くの国会議員の理解が得られ、「骨太の方針2025」の原案からの変更につながったとしつつ、日医・日医総研が総力を挙げて医療経済実態調査を分析するなど理論武装をして主張すると言明。その上で、目の前の参院選に尽力するとし、投票行動を呼びかけ、さらなる支援を要請した。
大坪由里子予備代議員(東京都)ならびに長島徹代議員(栃木県)の有料職業紹介事業や人材確保に関する質問に対し、松岡かおり・日医常任理事が、公的機関を活性化しつつ、有料職業紹介事業者の適正化を国に要求していくと答弁した。これに関連し、笠原幹司代議員(大阪府/府医理事)は、「日医女性医師バンク」の紹介動画を活用し、日医が行う無料職業紹介の認知度を向上させるよう訴えた。
藤田泰宏代議員(高知県)のセルフメディケーションに関する質問には、宮川政昭・日医常任理事が答弁で、必要な時に適切な医療が受けられない国民が増え、国民皆保険を揺るがしかねないと危惧。国や製薬関係団体の取り組みを注視し、医会や学会と連携しながら適切に対応するとした。これに関連し、大平真司代議員(大阪府/府医理事)が、▽必要な医療は公的保険でまかなうこと▽医師の処方権を守ること▽オーバードーズも含めて医療安全の観点からの危険性――を主張していくよう要望した。
医療機関や介護施設の経営危機を述べ、国の方針などを大幅に変える必要性を強調。難局をしっかりと伝え、医療・介護・福祉従事者の生活を良くするため全力で取り組むと表明した。