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医師・医療関係者のみなさまへ

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会大阪府地方部会・大阪府耳鼻咽喉科医会主催 市民公開講座

府医ニュース

2025年7月2日 第3113号

「花粉症をもっと知ろう」をテーマに開催

 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会大阪府地方部会(猪原秀典部会長)と大阪府耳鼻咽喉科医会(有賀秀治会長)が共催する市民公開講座が3月20日午後、大阪市内で開催された。当日は、「花粉症をもっと知ろう」をテーマに、約120人の市民が参加した。
 開会にあたり猪原部会長があいさつ。今回のテーマである花粉症は、命に関わる病気ではなく軽視されがちであるが、労働生産性を著しく下げることが分かっていると明かし、本講座で花粉症対策を学んでほしいと呼びかけた。
 はじめに、「知っているようで知らない花粉症の話」について、前田陽平氏(JCHO大阪病院長特任補佐)が講演。国民の半数が花粉症とも言われており、国としても社会問題との認識を示し、▽発生源対策▽飛散対策▽発症・曝露対策――を花粉症対策の3本として、長期的な取り組みがなされていると報告した。また、花粉症は目や鼻の症状だけでなく、頭痛や体のだるさ、喉の症状、皮膚の痒みなどが現れる場合もあると説示。治療としては、薬物治療や根治治療である舌下免疫療法や、皮下免疫療法を紹介した一方で、ステロイドによる「ブロック注射」は副作用のリスクが高く、日本アレルギー学会でも推奨されていないため安易に受けないよう訴えた。
 続いて、「診察のようすを見てみよう」と題する寸劇が行われた。寺田哲也氏(大阪医科薬科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学専門教授)、朝子幹也氏(関西医科大学総合医療センター耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教授)、菊岡祐介氏(第一東和会病院耳鼻いんこう科部長)が医師や患者を演じ、花粉症で受診した際の診察の模様や治療方針の決定プロセスなど、笑いを交えつつ分かりやすく伝えた。
 最後に、「花粉症を重症化させない対策とは」として、濱田聡子氏(関西医科大学香里病院耳鼻咽喉科診療部長)が登壇。濱田氏は、抗原を回避するセルフケアや、花粉の飛散前から始める内服薬、体質改善が期待できる免疫療法などを解説した。さらに、重症化した場合には抗体療法や手術もあると述べ、症状に悩んでいる方はかかりつけの耳鼻咽喉科医への相談を促した。

 閉会に際し、有賀・同医会長があいさつ。同医会の活動を紹介するとともに、大阪市中央急病診療所(大阪市西区)では、同医会所属の医師が交代で365日、休日・夜間の耳鼻咽喉科の救急診療を行っていることを紹介し、緊急時は利用してほしいと締めくくった。