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医師・医療関係者のみなさまへ

生野区認知症・在宅医療シンポジウム

府医ニュース

2025年7月2日 第3113号

「ACP」を落語で学ぶ

 生野区三師会など11団体で組織する生野区認知症高齢者支援ネットワーク会議および在宅支援ネットワーク会議は3月8日午後、「第13回認知症・在宅医療シンポジウム」を同区民センターで開催。「いつまでもこの街で暮らしていこう」をテーマに実施し、区民・関係者ら約250人が参集した。

 開会に先立ち、綿谷勝博・生野区医師会長があいさつ。認知症患者が年々増加する一方、地域のつながりの希薄化や孤立が進む深刻な現状を危惧した。同区では「ひとにやさしい生野」を合言葉に、高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう、今後も安心安全なまちづくりに尽力していくと力を込めた。
 第1部のシンポジウムでは、「『この街で暮らす』を叶える! 支援機関からのメッセージ」と題して、同医師会の宮本峯豪副会長をはじめ、薬剤師会・居宅介護支援事業者連絡会・訪問看護事業所連絡会・訪問介護事業者連絡会・おかちやまオレンジチームの担当者が登壇。①単身高齢者②若年性認知症――の模擬事例を基に、各職種の立場から支援のあり方を考えた。大切なのは、「本人の思いやニーズに向き合い、一人ひとりに最適な支援を提供すること」と伝えた。また、昨年1月施行「認知症基本法」を紹介し、宮本副会長が認知症対策について解説。▽社会的なつながり▽難聴対策▽有酸素運動▽和食中心の食生活――が重要と強調した。
 第2部では、「落語で楽しく学ぶACP(人生会議)」と題し、生島清身氏(行政書士/社会人落語家)による落語と講演が行われた。まず、遺言や相続を題材に創作した落語を披露。問題に直面する家族の様子を時折ユーモアを交えながら演じ、会場には笑いがあふれ拍手が送られた。その後の講演では、家族に自分の「想い」を伝える手段である「エンディングノート」の活用方法やACP(アドバンス・ケア・プランニング)に言及。自分の望む医療やケアを事前に考え、家族や医療・ケアチームと繰り返し話し合うことで、「悔いのない自分らしい人生を送ってほしい」と呼びかけた。