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府医ニュース

2025年7月2日 第3113号

 ◆北里柴三郎記念博物館で、北里博士の名言の一つの前に。「研究だけをやっていたのではダメだ。それをどうやって、世の中に役立たせるかを考えよ。」
 ◆生化学研究時代、師匠が節目節目にかけてくれた言葉である。師匠は博士の名言に接し、自らの規範として大切に守っておられたのだろう。研究の道に立ったばかりの若者に熱く伝えてくれていたのだろう。師匠への感謝が一層増してきた。
 ◆皆が敬意を感じる先達が残し、厳しくも温かい師匠から伝えられた言葉は、まさしく「薫陶」といえる。AIは瞬時に同じ様な言葉を作るであろう。しかし、人の洞察が込められ、人につながりのない言葉は自己愛にすぎない。紡ぐに至る背景が言葉を活かす。
 ◆博士は感染症予防に多大な足跡を残されただけでなく、多くのすぐれた人材を育てられた。そのような方々に肩を並べられる者ではないが、師匠を通じて博士の「薫陶」を受けていたと感激を憶えた。ずいぶん以前に亡くなられた師匠がなつかしく、側でほほえんでおられる様に。(翔)