
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2025年7月2日 第3113号
令和6年度第3回小児救急医療研修会(大阪府医師会主催、大阪小児科医会後援)が3月12日午後、府医会館で開催された。当日はウェブとの併用で、医療従事者ら約50人が聴講した。
座長を新田雅彦氏(府医救急・災害医療部委員/大阪小児科医会理事)が務め、谷口昌志氏(谷口くずはファミリークリニック院長)が、「小児救急医療のTips」と題して講演した。まず、小児医療を取り巻く状況に言及。医師の働き方改革による、夜間診療の縮小など小児救急医療への影響を懸念した。小児医療では患者の多くが軽症であり、重症患者は成人に比べ少ないとし、他科の医師にも協力を仰いだ。
谷口氏は、診療の流れに沿って『子どもの診察のTips』を紹介。問診の前に「ひ(皮膚色)・み(見かけ)・こ(呼吸)」を確認し、異常がみられたら高次施設への後送を検討するよう伝えた。問診では「情報の確度」を意識し、低年齢であるほど主訴が間違いの可能性も考慮しながら、的を広げて診ることが重要と強調。脳性麻痺・発達障害がある児は診察が難しいケースが多く、小児科医に任せてほしいとした。加えて、診断では、「主訴を一元的に説明できるか」を常に考えることが大切と語った。
次に、疾患の各論となる『子どもの病気のTips』を解説。はじめに、小児は呼吸予備力が少なく、悪化すると心停止につながる場合もあるとして注意を促した。吸気障害と呼気障害で疾患が異なるとし、「クループ」「喘息発作」の重症度評価について詳説した。また、「先天性心疾患」は、まれだが重症度が高く、確立されたマニュアルがないため診断が難しいと述べ、3ステップによるアプローチを説示した。最後に、「子どもを救うことは未来を救うこと」と力を込め、小児医療に携わる医師が増えることを願うと結んだ。