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医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2025年7月2日 第3113号
此花区医師会(板東博志会長)は3月15日午後、同区内で令和6年度此花区認知症等高齢者支援地域連携研修会を開催した。当日は、ウェブを併用して実施され、会員医師をはじめ、医療・介護従事者など約40人が参加した。
開会にあたり、板東・此花区医師会長があいさつ。高齢になるにつれて、特に認知症の方では様々な意思決定が難しくなるケースがあると指摘。その対策の一つとして「成年後見制度」があると述べ、本講演で制度への理解を深めてほしいと呼びかけた。
続いて、「認知症と成年後見制度は表裏一体――老いじたくのススメ」と題して、田中忠德氏(同医師会顧問/社会福祉士・行政書士)が講演。田中氏はまず、大阪市では独居高齢者の割合が45.0%と高く、孤独死も増加していくと見通した。また、高齢化に伴い認知症も増え、詐欺や虐待の被害に懸念を示した。その上で、令和6年に施行された「共生社会の実現を推進するため認知症基本法」を概説したほか、行政サポートや地域包括支援センターなどの相談先などを伝えた。
次に、成年後見制度について言及。成年後見制度は、高齢者などを家族に代わって支援する制度であり、「法定後見」と「任意後見」の2つがあるとし、それぞれに解説を加えた。その中で田中氏は、元気な時にする任意後見制度が有効と強調。特に、見守りや生活支援を依頼する「生前事務委任契約」と認知症などにより判断能力が低下した際に発動する「任意後見契約」、死亡後の「死後事務委任契約」までをセットとした「移行型の任意後見制度」の導入がおすすめと力説。任意後見受任者や後見人(法定・任意)は司法書士や行政書士、弁護士などの専門職が務めることが多いと述べ、信頼できる人を選任すべきと訴えた。
最後に、遺言書作成時の注意点、公正証書遺言書の利点や、自筆証書遺言書保管制度などを説述したほか、支援される側にも、支援する側にも人に頼る力「受援力」が必要とし、それを発揮してほしいと締めくくった。