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田植え

府医ニュース

2025年6月25日 第3112号

 小学校の時の通学は、集落と田園地帯を縫って、3㌔ほどの道を通っていた。今の季節は田んぼに水が張ってあって、田植えの季節である。興味は米ではなく、ザリガニやオタマジャクシであったが、農家の人が腰を折りながら田植えをする姿は、あの頃でも感心していた。
 田植えは小学校の実習であったが、田植えの何をやるねん的感覚でしかなかった。ほぼ遊び状態で、数本ほど植えれば自己強制終了で、後は冗談を飛ばしていた。日本文化の学習という大義名分はあるのだろうが、日常の学習なんてクソくらえで、いい加減な田植えで終わるのだが、それでも腰が続かない。この古典的田植えから、現在は自走式田植え機に進化しているが、農家の人の苦労は大変である。小学校実習の時は裸足で田んぼに入った。しかし実習は蛭のフェスタである。普段はオタマの冷血しか吸っていない奴らが、ピチピチの小学生の温血にありつける。痒いと思ったら大体やられている。痛くないのである。
 田んぼは私にとって、寄り道の最高の遊び場であった。畦道でマムシに注意しながら、ありきたりのトノサマガエルやアマガエルではなく、希少価値のあるウシガエルの卵など探すのであるが、卵が田んぼの中にある時は、ちょっと失礼して長靴で入っていく。その長靴が田んぼに足を取られるのである。引き抜けない時は、大体田んぼで四つん這いになるのがオチであった。逆四つん這いは、大体母親に怒られる。2代前は農家であったせいか、田園への愛着が私には強く、昨今の米の高騰には、それほど抵抗感はない。(晴)