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第4回 周産期医療研修会

府医ニュース

2025年6月25日 第3112号

骨系統疾患について解説

 大阪府医師会は大阪産婦人科医会との共催により、2月22日午後、府医会館とウェブの併用で「令和6年度第4回周産期医療研修会」を開催。「日常診療で骨の異常を疑ったら」をテーマに、医療従事者ら約130人が受講した。
 冒頭、笠原幹司理事があいさつ。骨系統疾患は胎児期の発症も多く、様々な要因により異なった対応が必要と強調。本研修会が周産期医療充実の一助になればと期待を込めた。
 はじめに山田崇弘氏(北海道大学大学院医学院臨床遺伝学・医療倫理学教授)が、「骨系統疾患の相談窓口(骨系統疾患コンソーシウム)6年間の経験から」と題して講演した。「骨系統疾患」は多種類で発症頻度は低いものの、妊婦健診時の超音波計測の普及により、発症の疑いが増加したと説明。診断に必要な条件を列挙しつつ、診断支援を担っている「骨系統疾患コンソーシウム」を紹介し、集積症例数も年々増えていると報告した。また、画像診断で必要な胎児CTでは、胎児への影響を踏まえて「早い週数での使用は控える」よう注意を促したほか、放射線被曝問題を指摘し、「逐次近似法」の使用で被曝量低減が可能となる調査結果を説示した。
 次いで、窪田拓生氏(大阪大学大学院医学系研究科小児科学准教授)が、「骨系統疾患の診断とその治療・管理――遭遇した時に備えて」をテーマに登壇。「骨系統疾患」は骨格形成や維持に異常を来す全身性遺伝性疾患であり、出生前に発症が疑われ、出生後の新生児集中管理を要する場合は産科・新生児科間の緊密な連携が重要と訴えた。さらに、出生後早期に骨系統疾患の疑いがある患者の原因遺伝子同定が可能になってきていると言明。そのほか、▽低ホスファターゼ症▽低ホスファターゼ症と鑑別を要した疾患▽骨形成不全症▽FGFR3軟骨異形成症――について概説した。