
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
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将棋部だより
府医ニュース
2025年6月18日 第3111号
5月18日に今年3回目の例会を、大阪市中央区谷町の大阪府社会福祉会館で開催した。バラやジャスミンが咲く、暑い日だった。
「谺(こだま)して山ほととぎすほしいまま」と杉田久女(ひさじょ)さんは詠んだ。精神科医のゲープザッテルによれば「人間とは陶酔を求める存在」なのだ。久女さんは高揚した気分で秀句を詠んでは陶酔した。我々は盤の前に座れば、青春時代に戻ったような気持ちになれる。良い将棋を指せれば陶酔するし、新しい自分になれたと自覚する。周りの世界が今までとは異なるように見えることさえある。
参加者は10人だった。いつも通りに礼儀を守り真摯に対局した。将棋は礼で始まり礼で終わる武道のひとつである。この日は定跡を踏襲し、理論に忠実に指した者が多かった。序盤から華々しく戦わず、がっちりと駒組してから堂々と戦ったので、あまり差がつかないで終盤に至り、際どい勝負になった。
東森五段(平野区)はとりわけ理論に忠実な指し方で勝ち星を重ねた。また青谷三段(高槻市)はいつものような大技を振るわず、じわじわと優位を拡大する指し方で3連勝した。この2人が最後に対決して、皆が見守る大熱戦となった。長手数の激闘の末、東森が優勝、青谷が2位、3勝1敗の手島七段(和泉市)が3位になった。ほかの参加者は伊藤五段(野崎徳洲会病院/大東市)、山中五段(福島区)、濱田五段(東住吉区)、佐野五段(豊中市)、柿原三段(堺市)、準会員四段、準会員二段だった。
「確かに懐疑は理性の始まりであろう。しかし懐疑の始まるところで芸術は終わるのだ」とアンドレ・ジッドは断定した。人間には信じるものがなければならない。我々は芸を学んで世界を深く理解できるようになった。これからも厳しい修行の道を歩んでいきたい。
入部をお望みの方は、いずみがおかメンタルクリニックの手島(電話0725-56-2727)までご連絡ください。
報告 手島 愛雄(和泉市)