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医師・医療関係者のみなさまへ

第1回医療問題研究委員会

府医ニュース

2025年6月18日 第3111号

釜萢日医副会長と加納府医会長 医師会活動について講演

 大阪府医師会は4月9日午後、令和7年度第1回医療問題研究委員会を開催した。委員ら41人が参集し、日本医師会と府医が取り組む活動について理解を深めた。

 栗山隆信理事が司会を務め、冒頭、茂松茂人・日医副会長からビデオメッセージが寄せられた。医療を巡る課題を憂慮し、当委員会での活発な議論に期待するとともに、解決策の一つとして医政の力の多大な影響を説いた。

日本医師会の活動

 まず、釜萢敏・日医副会長が日医の活動について講演した。はじめに、医療・介護を取り巻く環境は非常に厳しく、「このままでは地域医療の継続が大変難しくなる」と前置き。深刻化する医療機関の経営実態を詳述した。3月に行われた6病院団体との合同声明では、「ある日突然、病院がなくなってしまう」危機的状況を訴えたと報告した。その上で、医療・介護を次世代に引き継ぐことの大切さを主張。国民皆保険制度を堅持するためには、医師会が組織力と発言力を強化し、医療政策の議論の場に現場の意見を伝えることが重要と述べた。現場に即した医療政策の実現に向けては、中央と地方の連携した展開が不可欠と指摘。日頃から地元において声を上げることを求めた。さらに、医療・介護の仕組みを継続させる前提として、全医療従事者を対象とした処遇改善に言及。元気に明るく働くことができる環境が整備されてこそ、国民の命と健康が守られると強調した。

大阪府医師会の活動

 次いで、加納康至会長が、府医の組織力強化に向けた取り組みや広報活動などについて解説。はじめに、昨年度の病院団体との懇談会に触れた。例年、年1回としていた開催を3回に増やしたことで緊密な連携が取れ、共通認識を持って大阪府・市に医療機関の現状を訴えることができたと振り返った。「医療の恩恵を受けるのは国民」と語り、このままでは当たり前のように受けてきた医療が、今後受けられなくなる危険性について、国民に対して丁寧に説明することが肝要と加えた。そのほか、SNSを活用した情報発信に向け、現在準備中と明かした。
 また、医療機関による経営努力や組織改善にも論及。医療界には「古い体質もある」とし、時代の変化への柔軟な対応が求められていると見通した。「経営状況の正しい把握」「雇用状況の再検」「コスト削減や適正化」「医療サービスの質の向上」「経営戦略の見直し」といった課題に関する情報発信やセミナー開催の必要性も説示した。
 講演後の意見交換では、▽OTC類似薬の保険適用除外を巡る考え方▽収支差の確保・維持と経済的支援に向けた主張▽給付範囲の見直し▽先進医療と財源▽医療情勢に対する国民の理解醸成――などについて、釜萢・日医副会長と加納会長が見解を示した。