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医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2025年6月4日 第3110号
此花区医師会(板東博志会長)は3月5日午後、此花区役所で「もしバナゲーム研究会」大規模大会を開催した。医療・介護・法務職に加え、同区役所職員など約40人が参加した。
「もしバナゲーム」は、患者と医療者のコミュニケーションツールとしてアメリカで開発された。亀田総合病院(千葉県鴨川市)で緩和ケアや在宅医療に携わる医師らが翻訳し、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の普及に向けたカードゲームとして活用されている。この日は各テーブルに4人ずつ座り、ゲームを通して自身の人生観や価値観などを語り合った。
はじめに板東・此花区医師会長が、同医師会では専門職を対象に「もしバナゲーム」を6回開催しており、「本日が総まとめ」とあいさつ。ACPの有用なツールであり、「さらにACPを深めていきたい」と述べた。
田中忠德氏(同医師会顧問)の司会で始まり、意思決定支援やACPに関する説明がなされた。本来、自分の意思は自身で決めるが、「病気や加齢で難しくなるケースがある」と前置き。様々な場面で多職種が支援者として関わっていると伝えた。一方で、周囲の環境や気持ちの変化など、支援の難しさも指摘。近年ではうまく支援者に頼る「受援力」が注目されており、「相手への敬意など、支援者にも求められる」との見方を示した。
ACPについては、「意思決定支援のプロセス」と強調。決めることよりも「対話により計画を立てる過程が大切」と力を込めた。また、ALP(アドバンス・ライフ・プランニング)の概念を提示。自分の人生観や価値観に基づく「事前の人生設計」であり、どのような人生を歩みたいのかを考えることも重要だと説いた。
その後、35項目からなるカードを使用し、7つのテーブルで「もしバナゲーム」が行われた。5枚のカードが各自に配られ、場に並べられた5枚のカードと手札を1枚交換していく。全員がパスすれば新たなカード5枚を場に並べる。場からすべてのカードが無くなれば終了だ。最終的には、自身が「重視したいカード」が手元に残り、各自がその理由などを語る。
公認もしバナ・マイスターでもある田中氏の軽妙なトークも加わって各テーブルでは、真剣に楽しくゲームが展開した。最後に、安田健司・同医師会副会長が、「人生を考える話ができて貴重な機会になった」と総括し、閉会した。