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府医ニュース
2025年6月4日 第3110号
「第29回耳の日セミナー」が大阪府耳鼻咽喉科医会(有賀秀治会長)と日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会大阪府地方部会の共催で3月2日午後、大阪市内で開催された。府民ら約280人が参加した。
有賀・耳鼻咽喉科医会長は開会あいさつで、耳の健康は快適な生活に不可欠であり、不都合が生じたら早めに耳鼻咽喉科を受診してほしいと呼びかけた。同医会が出務協力する中央急病診療所に触れ、休日夜間における対応窓口を案内した。
まず、森脇計博・同医会理事が、「きこえの仕組み」と題し登壇。耳の構造や音が伝わる仕組み、聴力検査のほか、難聴の種類と特徴を説示した。鼓膜に穴が空いている場合は気付きにくいが、難聴は治る可能性があるので早めに治療を受けてほしいとした。また、場所が変わった時や急に話しかけられた時の聞き取りづらさ、テレビ番組によって聞き取りやすさに違いを感じたら対策を始めるようアドバイスした。
次に、大薗芳之氏(大阪大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学助教)が、「健康寿命と聴こえ8030運動」について講演した。健康寿命が損なわれる認知症の原因の一つとして難聴に言及した。「聴こえ8030運動」では、80歳で30dBの聴力を保つことが目的と説明。補聴器を活用しながら、しっかりと聞くことで健康寿命の延伸を訴えた。
続いて、萩森伸一氏(大阪医科薬科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教授)が、「みみの病気――難聴とめまいの話」をテーマに講演した。突発性難聴では、発症後2週間経過すると治療が困難と注意喚起。騒音性難聴は元に戻らないため、イヤーカフやヘッドホンの適切な使用で予防するよう加えた。さらにめまいに触れ、頭位性めまいは同じ姿勢を続ける人に多いとし、定期的に頭を動かすよう助言した。
最後に、中村晶彦・同医会副会長が同医会の地域住民向けの催しを紹介。健康情報の発信が役立つことに期待を寄せた。