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府医ニュース
2025年6月4日 第3110号
大阪府医師会は2月8日午後、府医会館で在宅医療における災害対策研修会を開催した。豊中市医師会を中心に同市内の多職種間で運用される情報通信技術「MCS(MedicalCareStation/愛称「虹ねっとcom」)」の活用例を中心に講演。ウェブ併用で約200人が受講した。
前川たかし理事は開会あいさつで、災害医療の発展に言及。平時からのICTを使った情報共有の有用性を語り、本研修が活動のヒントになることに期待を寄せた。
まず、辻毅嗣氏(豊中市医師会長/つじクリニック院長)が、「SNSを活用した災害時の情報共有の重要性」をテーマに、MCS活用例を伝えた。平成30年の大阪北部地震発生時には、停電や交通、安否状況に加え、地元医療機関の被害の様子などを現場から発信し多職種で共有。コロナ禍では、日々、豊中市医師会に届く府医や行政からの情報を迅速に発信するためにも利用された。辻氏は、まずは登録して情報を受け取ることから始め、便利さを知ってほしいと呼びかけた。
次いで、松本康代氏(訪問看護ステーションCIL豊中管理者)が、「在宅療養における災害対策について――豊中市域の取り組みを踏まえて」と題し登壇した。まず、自施設の災害時行動計画に定める災害発生時の初動や報告方法・内容などを解説。多職種が連携する上でMCSは非常に使いやすいが、日頃から顔の見える関係を作り、グループ活動などによってつながりを持つことが基本にあると力を込めた。
徳山浩子氏(豊中市健康医療部医療支援課難病支援係)は、「豊中市保健所における難病患者の災害対策」について講演した。防災プラン作成などに加え、MCSを活用した安否確認を紹介。平時から確認訓練などを通して防災意識や患者家族の主体性を高め、効率的な運用に向けた課題も検討していると加えた。令和6年の台風10号発生時における事前避難入院では、患者家族に精神的安心が与えられたと振り返った。引き続き平時から有事に対する共通認識を持って災害に備えたいと結んだ。