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東淀川区医師会認知症講演会

府医ニュース

2025年6月4日 第3110号

認知症をもっと知ろう

 東淀川区医師会(辻正純会長)は3月15日午後、「認知症講演会『認知症のことをもっと知ろう』――早期発見の大切さと住みやすい街づくり」を同区民ホールで開催。近隣住民ら約250人が参加した。
 はじめに、辻・同医師会長があいさつ。認知症の方と一緒に地域で生活する上で、病状を理解して一人の人間として関わってほしいと力を込めた。
 基調講演では、中西亜紀氏(大阪公立大学大学院生活科学研究科認知症ケア・施策学講座特任教授)が、「認知症――新しい法律・新しい薬」と題して登壇した。まず、我が国における65歳以上の認知症有病率は低下傾向にあると報告。低下の理由は明らかではないが、▽喫煙率の低下▽中年期~高齢早期の生活習慣病管理の改善▽健康意識の変化――が影響していると考察した。認知症は生活習慣病と関係が深く、健康意識の変化は重大な要因と強調。また、90歳以上の認知症有病率は50%以上であり、「自分事として考えないといけない」と訴えた。
 令和5年に「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」が成立したと報告。「新しい認知症観」に基づき政策を推進するとし、認知症の人の権利や尊厳の保持が重視されていると説明した。そのほか、認知症対策の総合的な推進についても言及。認知症の危険因子を下げる取り組みとして、①発症の遅延・リスク低減②早期発見・対応③進行の予防・遅延――を挙げた。さらに、認知症の新しい薬として「抗アミロイドβ抗体薬」を紹介し、使用条件や副作用などを解説した。
 次いで、岩倉あや子氏(大阪市生涯学習インストラクター)率いる大阪ラフター笑会メンバーによる「笑いヨガ」を実施。声を出して笑い、肺の空気を入れ替えることが重要とし、参加者全員で笑いながら体を動かした。
 最後に、岡部登志男・同医師会副会長があいさつ。認知症になっても対応策はあるとして、不安なことは認知症初期集中支援チームやかかりつけ医への相談を呼びかけた。