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医師・医療関係者のみなさまへ

此花区医師会 第4回ACP研修会

府医ニュース

2025年5月28日 第3109号

支援力と受援力がかみ合った意思決定支援を

 此花区医師会(板東博志会長)が主催する「令和6年度多職種連携研修会(第4回ACP研修会)」が2月15日午後、同区内で開催された。本研修会はACP(アドバンス・ケア・プランニング)の理解の深化を目的に実施され、今回で4回目となる。当日はウェブとの併用で、会員や医療・介護職など約50人が聴講した。

 座長は安田健司氏(同医師会副会長)が務め、冒頭、板東・同医師会長があいさつ。本人が自分の将来を選択・決定することが重要であり、そのためにACPがあると説明。多職種が連携しながら研鑽を積み、サポートすることが大切と述べた。
 次いで、同医師会顧問の田中忠德氏(社会福祉士・行政書士)が、「支援力と受援力がかみ合った意思決定支援、そしてACP!!」と題して講演した。まず、日本社会の現状は、単身(独居)者が増加し孤独・孤立が進み、「無縁社会」になりつつあると言及。特に大阪市の高齢者の単身世帯割合は45.0%で非常に多いと危惧した。また、多くの人が生前の意思や遺産、葬儀などの準備が整っていないと指摘。そのような中、近年災害や医療・介護分野で「受援力」の重要性が高まっており、支援される側(受援者)も心構えやスキルを身に付ける必要があると伝えた。
 続いて、意思決定支援を解説した。本来、意思決定は本人が決めることが基本であるが、高齢・病気などの理由で困難になることが多く、それを補完するのが「意思決定支援」と説明。意思決定支援チームは、本人・家族に加え医療・介護・法務など多職種で構成されており、支援者は「心技体」によって支援力を養うとともに、多職種連携には受援力も必要だと強調した。
 さらに、ACPは、意思決定支援のプロセス(積み重ね)と説示。①考えてみる②信頼できる人に話す③共有して残す――のACPサイクルを繰り返す中で、方向性を決めていくとした。具体的実践に向けたプロローグ研修として「もしバナゲーム」を紹介。加えて、日常から人生観・価値観を基に人生設計を考えておくALP(アドバンス・ライフ・プランニング)の概念も近年は重要視されているとした。最後に、老いじたく(終活)を概説。銀行関係の整理、任意後見制度、遺言書などにも触れ、人生の最期に後悔しないよう、元気なうちに準備・整理することが大切と結んだ。