TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

手順書活用促進シンポジウム

府医ニュース

2025年5月21日 第3108号

在宅医療での広がりに期待

 大阪府医師会は令和6年度に厚生労働省より「地域標準手順書普及等事業」を受託。会内に「地域標準手順書普及等推進委員会」を設置し、検討を重ねてきた。2月にマニュアルが完成したことを受け、同月22日に「地域での特定行為実施体制を成功させる!」をテーマとして手順書活用促進シンポジウムを府医会館で開催。医師・看護師ら約150人が聴講した。

 「特定行為」とは、看護師が医師または歯科医師の指示を待たず、手順書に基づいて行う診療補助だ。「特定行為に係る看護師の研修制度」を修了した看護師が対応可能で、平成27年に創設された。現在、その多くは急性期病院で就業しているが、在宅医療に活躍の場を広げることが期待されている。
 シンポジウムの冒頭、宮川松剛副会長があいさつ。第8次医療計画で在宅医療の重要性が示される中、特定行為研修修了者への期待は大きいと力説した。その上で、府医が作成したマニュアルでは6項目の手順書を示しており、「地域で活用されることを望む」と語った。
 前川たかし理事が座長を務め、はじめに初村恵氏(厚労省医政局看護課看護サービス推進室長)が、「特定行為研修制度の概要および地域標準手順書普及等事業について」と題して講演した。まず、特定行為に係る看護師の研修制度を概説。38行為21区分があり、指定医療機関で「特定行為区分に係る特定行為研修」を受ける必要があると述べた。研修制度の現状では、426機関が指定医療機関で、令和6年9月現在の研修修了者は1万1441人と、いずれも増加傾向だと語った。
引き続き、「地域における医師と特定行為研修修了者の実際の好事例」として、▽新井茂登子氏(訪問看護ステーションあらい管理者)▽津塩昌子氏(ふちゅう訪問看護ステーション管理者)▽間宮直子氏(大阪府済生会吹田病院副看護部長)――がそれぞれの立場から、手順書に基づく在宅医療現場での特定行為を説示。一方で、手順書に関する医師への周知不足などを課題に挙げ、マニュアルの普及がカギとした。

地域医療の未来を拓く!
特定行為と手順書の相乗効果

 岡原和弘氏(地域標準手順書普及等推進委員会副委員長)の座長で、総合討論が実施された。いずれも同委員会で委員を務める川邉正和氏(かわべクリニック院長)、小林正宜氏(葛西医院理事長)、長濱あかし氏(大阪府訪問看護ステーション協会長)、髙木詠子氏(大阪府看護協会教育部特定行為研修専任教員)、新井氏、津塩氏、間宮氏が登壇し、地域で手順書を普及させるための工夫や特定行為の有用性などを確認した。