
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2025年5月7日 第3107号
◆三月末から桜前線が北へ北へと向かう。もう北海道に達しているころだ。ところで、本州最南端鹿児島が出発地になるのはまれである。
◆桜開花最早地は、東京など、より寒冷な地域である。「休眠打破」という現象によるようだ。花芽は夏に生まれ、秋から初冬にかけて成長を止める。「休眠」である。厳冬に入り、寒冷にさらされることで目覚める。再び成長を始めることを「休眠打破」と呼ぶ。
◆一旦目覚めると、たとえ冷えが強まっても雪をかぶっても、成長を続ける。春にすばやく開花できるゆえん。対し、鹿児島の冬は桜にとって暖かすぎ、かえって目覚めが鈍く、開花準備が遅れる。厳しい環境のもとで命をつなぐ健気な姿が「休眠打破」である。
◆昨年度は、医療経営にとって厳しい一年だった。大半の病院が多額の赤字に。本年度にも楽観できる材料はなく、厳しさが続く。一層の経営改善が求められる。そのうえで、将来の姿を考え、そのための人材とノウハウの育成を忘れてはならない。命をつなぐ「休眠打破」へと。(翔)