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医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2025年5月7日 第3107号
大阪府医師会は2月14日午後、「令和6年度環境保健・健康づくり研修会」を府医会館で開催。ウェブとの併用で、医療従事者ら約70人が受講した。
藤本良知氏(府医環境保健・健康づくり推進委員会委員長)が座長を務め、細井雅之理事があいさつ。府民の健康寿命延伸と健康格差縮小を目指し、生活習慣改善や生活習慣病予防に向けた活動を推進しているとして、本研修会を通じたヘルスリテラシーの向上に期待を寄せた。
はじめに、中村敏子氏(同委員会委員)が、「フレイルの予防と実践――よく食べ・よく動く」をテーマに講演した。我が国は、65歳以上の人口が全体の21%を超える「超高齢社会」を世界で初めて迎えると前置き。支援や介護が必要となる主な原因は、①関節疾患・骨折②脳血管疾患③認知症――の順で多いと提示した。健康的な生活の維持には、脳機能・内臓機能・身体機能をバランス良く保つことが重要とし、「フレイル」にならないことも大切だと強調。また、高齢者の認知症患者数についても触れ、認知症の発症には生活習慣病が深く関わっているとし、減塩や禁煙を呼びかけた。さらに、脳を活発に動かすため、▽いつもと違う選択▽新しいことに挑戦▽おしゃべり・音読・書き物――などを積極的に行うようアドバイスした。
次いで、小野郁氏(味の素株式会社執行理事コーポレート本部サステナビリティ推進部長)が、「食と暮らしの未来」と題して登壇。まず「食料生産は地球にとって大きな負担」との見方を示した。世界の温室効果ガスの約4分の1が食料生産によって排出されるが、その食料の約3分の1が廃棄されていると問題視。対策として講じられている、昆虫・培養肉などほかのタンパク源の活用や、作物・家畜の生産効率向上による環境負荷の減少を目指す新しい生産技術を紹介した。そのうちの一つとして、▽土壌の健康▽生物多様性▽気候▽水資源――を改善し、農家の生計回復を目指す「再生農業」を挙げた。ほかにも食品ロス減少を目指した取り組みなどを伝え、行動の積み重ねが功を奏すと結んだ。