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医師・医療関係者のみなさまへ

多職種協働による意思決定支援研修会

府医ニュース

2025年5月7日 第3107号

患者本人の意思を尊重し実現を

 大阪府医師会は1月25日午後、大阪府在宅医療総合支援事業の一環として、府医会館で「多職種協働による意思決定支援研修会」を開催。会場とウェブの併用で、在宅医療に関わる多職種ら約250人が受講した。
 開会のあいさつで前川たかし理事が、各職域で研鑽していても、多職種で協働する際には課題に直面しやすいと語り、本日の講習が役立てばと期待を寄せた。
 小川喜久氏(府医介護・高齢福祉委員会委員)が座長を務め、はじめに水大介氏(大阪赤十字病院救急科部長兼救命救急センター長)が、「救命救急センターにおける〝意思決定〟の現状」について講演した。まず、患者の人生最終段階における医療・療養に関する意思について、医療者と介護者間の共有が進んでいないと指摘。特に救急現場では、冷静な判断が難しいとした。救急医にとって、何気ない会話から患者の価値観を知ることができるかかりつけ医やケアマネジャーらとの連携が不可欠と述べ、患者の「現在の考え」を関係者でしっかりと共有することの重要性を説いた。
 次いで、中島紀子氏(大阪赤十字病院患者総合支援センター入退院支援課)が、「退院支援における意思決定支援」を伝えた。退院支援をする上で、患者自身が状況を理解して自分で決めることが大切と前置き。意思には、▽変容する▽正解がない▽色々な人が関わる▽様々な場所で行われる――といった難しさがあるが、患者を尊重し、実現に向けた支援を尽くすよう呼びかけた。
 引き続き、川邉正和氏(かわべクリニック院長)と川邉綾香氏(同クリニック看護師)が、「意思決定支援を生活の一部に!――病院の立場や施設等における事例も踏まえて」と題し登壇した。在宅での看取りを選択したがん患者の事例から、患者・家族に丁寧に説明し続ける大切さを伝えた。ACP(アドバンス・ケア・プランニング/人生会議)に加え、その前段階としてALP(アドバンス・ライフ・プランニング)を紹介。元気な時から自分の価値観を明確化して、周囲と共有することを推奨した。自分の思いを伝えることが、周囲の人々の負担の軽減につながると結んだ。
 講演終了後の総合討論では講演した4氏が登壇。受講者からの質問に答えた。