
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2025年5月7日 第3107号
大阪府医師会は大阪産婦人科医会との共催により2月6日午後、府医会館で「令和6年度家族計画・母体保護法指導者講習会」の伝達講習会を開催した。本講習会は、日本医師会で開かれた講習会の伝達に加え、中島和江氏(大阪大学医学部附属病院中央クオリティマネジメント部教授・部長・病院長補佐/大阪大学総長補佐)による講演を実施。ウェブとの併用で、産科・婦人科の医師ら約400人が受講した。
はじめに、加納康至会長があいさつ。産婦人科医療・人工妊娠中絶を取り巻く最新の動向を学ぶとともに、医療安全に関しても理解を深め、日常診療に役立ててほしいと期待を込めた。
光田信明氏(大阪産婦人科医会長)が座長を務め、巽啓司氏(府医母体保護法指定医審査委員会委員)と辻江智子氏(同委員会委員)が、「新たな局面を迎えて母体保護法指定医師として考えること」をテーマに登壇した。両氏は、▽母体保護法等に関する検討委員会・答申(多胎減数手術・配偶者の同意・胎児条項について)▽緊急避妊薬について(スイッチOTC化に関する議論)▽経口人工妊娠中絶薬について(メフィーゴパックの使用法と安全性および運用)▽母子保健行政の最近の動向――を概説。そのほか、患者へのより丁寧な事前面接や心理的ケアが肝要と訴えた。
次いで、中島氏が、「医療チームの安全を支えるノンテクニカルスキルと心理的安全」と題して講演した。まず、医療現場においては、いかに安全を確保しながら診療を行うかが重要と前置き。業務量や対応方法は状況に依存し、チームワークに加えて自律的に動く必要がある中で、うまくいく鍵は「ノンテクニカルスキル」だと述べた。中島氏はこれを「専門家を補い、安全で効率的に業務を遂行するため必要とされる認知的・社会的能力」と説明。医療事故が起きる原因の多くは、状況認識・意思決定・チームワークなどの欠如による「ノンテクニカルスキル上の問題」とした。対策として、事前打ち合わせ(ブリーフィング)で役割分担を明確にしておき、チェックリストを声に出して全員で共有するなどを提示した。
最後に、笠原幹司理事が母体保護法を解説。人工妊娠中絶の、▽可能な時期▽適応▽同意――などを取り上げ、あわせて問題事例や通報義務についても伝えた。