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府医ニュース
2025年5月7日 第3107号
長年にわたり医療現場で地域住民を支える医師を顕彰する「第13回日本医師会赤ひげ大賞」(主催:日本医師会・産経新聞社)の表彰式が2月21日夕刻、明治記念館(東京都港区)で挙行された。同賞には平成24年の創設以来、全国の医師会から推薦された医師の中から毎年5人が選ばれている。今回は、大阪府医師会推薦の中村正廣医師(東成区医師会)が、大阪では2度目となる大賞を受賞した。
中村氏はかかりつけ医を志して中村クリニックを開業し、30年にわたり地域医療に従事。その傍ら、患者が住み慣れた地域で最期まで過ごせるよう、地区医師会を通じて在宅医療体制の充実や多職種連携にも注力してきた。平成22年には私財を投じ、地元商店街の中に多世代交流の場として「新道パトリ」を開設。在宅医療の最終段階である「まちづくり」に着目し、先進的な取り組みを推進してきた。
表彰式では、中村氏を含む5人の大賞受賞者および14人の赤ひげ功労賞受賞者の功績が称えられた。冒頭、主催者を代表して松本吉郎・日医会長があいさつ。受賞者はいずれも「医療を超えた患者との信頼関係を築き、地域を守ってこられた」と賛辞を贈った。また、今年は団塊の世代が全員75歳以上になるとし、日医としても地域での活動を支えながら地域医療の充実に寄与していくと誓った。
次いで、黒瀨巌・日医常任理事より選考経過を報告。令和6年5月1日に都道府県医師会に候補者の推薦を依頼し、選考委員による事前審査を経て、11月7日に日医会館で開催した選考会で受賞者が決定したと説明した。また、コロナ禍や震災を通して、かかりつけ医の重要性が再認識されていると言及。本賞が地域医療のさらなる充実や後進の育成につながることに期待を寄せた。
続いて、大賞受賞者が表彰された。松本・日医会長から表彰状、近藤哲司・産経新聞社代表取締役社長から副賞が授与され、受賞者から感謝の言葉が述べられた。中村氏は開業医であった自身の父親の果たせなかった思いを糧に同じ土地にクリニックを開業したと回顧。有料老人ホームの併設や訪問診療、医師会主導の多職種連携など、地域完結型の医療を目指して安心安全なまちづくりに尽力してきたと語った。今回の受賞は、東成区医師会関係者をはじめ各種団体や家族、さらに故中尾正俊・前府医会長の協力や支えによるものと謝意を示した。
来賓祝辞では石破茂首相が登壇。受賞者をはじめ地域で医療に貢献されている方々は、地域住民にとって頼みの綱であり、心のよりどころとなっていると語った。また、医師は医術だけではなく、「人生すべてをかけたパートナー」と述べ敬意を表した。
閉会あいさつで近藤氏は、本賞の選考委員には医学生も参加していることに触れ、「受賞者の高い志が次世代に引き継がれ、未来の赤ひげ先生が生まれることを願う」と結んだ。