TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

第2回小児救急医療研修会

府医ニュース

2025年4月30日 第3106号

小児救急における対応を解説

 大阪府医師会は令和6年12月5日午後、「6年度第2回小児救急医療研修会」を府医会館で開催。ハイブリッド形式で実施し、医師や看護師ら約60人が受講した。
 前川たかし理事が座長を務め、小垣滋豊氏(大阪急性期・総合医療センター小児科主任部長/大阪小児科医会理事)が「小児救急における消化器・呼吸器・アレルギー疾患への対応」と題して講演した。
 小垣氏はまず、マイコプラズマ感染症の流行に触れ、「細菌感染症は抗菌薬を適切に使用することが大事」と語った。また、小児の呼吸器疾患を診る上で重要な初期評価(PAT)は、①外観(見かけ)②循環/皮膚色③呼吸仕事量――から構成されていると解説。バイタルサインとあわせて診てほしいと呼びかけた。喘息発作時の対応なども紹介し、救急診療を受診すべき症状を伝えた。
 続いて、食物アレルギーとアナフィラキシーが年々増えていると報告。卵や牛乳に次いで、木の実類のアレルギーが多いと加えた。急速に発症する皮膚・粘膜症状のほか、呼吸器・消化器症状なども典型的だが、皮膚症状がなくても血圧低下や呼吸器症状が現れることもあると説明。小垣氏は、「アナフィラキシーで亡くなる例は少ないが、〝ゼロ〟ではない」と強調し、注意を促した。
 最後に、腹部症状について概説。腹痛・嘔吐の症状で最も疑われるのは急性胃腸炎であるが、強い腹痛を繰り返し、血便や血性嘔吐の症状がある場合、▽腸重積▽虫垂炎▽卵巣茎捻転――などの可能性もあると解説した。そのほか、精巣捻転は、患者本人が腹痛と勘違いしている場合もあり、エコーで確認するなど、手遅れにならないよう助言を加えた。