
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2025年4月16日 第3105号
3月度郡市区等医師会長協議会(令和6年度第12回)が3月28日午後、大阪府医師会館で行われた。本文は加納康至会長あいさつ(要旨)。
前日の第330回府医臨時代議員会では、令和7年度事業計画および予算を報告した。来年度も引き続き、円滑な会務運営に努めていきたい。
4月からは4千品目以上の値上げや賃金上昇が見込まれ、医療機関の経営も一層厳しくなることが危惧される。府医は会員はもとより医療従事者の生活を守らなければならない。しかし、医療機関の経営難ばかりを訴えていても国民の理解は得られないと考えている。このままではこれまで当然のように受けられていた医療が享受できなくなる懸念を国民に訴えていくことが必要であり、SNSの運用なども視野にいれつつ、「上手な医療のかかり方」を発信していきたい。
4月7日からは、「急性呼吸器感染症(ARI)」が定点サーベイランスの対象となる。定点医療機関には新たな報告義務が課されるなど負担が増大する。大阪府には適切な支援と柔軟な対応を求めているところである。
新年度を迎えても医療を取り巻く厳しい状況は続いていく。府医の会務運営は楽観視できる状況ではないが、郡市区等医師会長をはじめとする会員の先生方に理解と支援を賜りたい。
会長協議会終了後には、令和6年度人権研修会が開催された。「大阪・関西万博を見据えた外国人患者対応について」と題して、原慎太郎氏(大阪府健康医療部保健医療室保健医療企画課企画調整グループ総括主査)が、大阪・関西万博の開催に伴う来阪インバウンドによって増大する外国人医療需要への対応を説示した。
原氏は、まず医師法19条に規定される「応招義務」に触れ、外国人患者であっても同法が適用されることを前提として、患者の人種や国籍、文化・言語の違いなどを理由とした診療拒否は正当化されないと前置き。一方で、我が国の医療のかかり方を十分に理解していないケースや未収金のリスクなどの課題もあると指摘した。
また、医療機関における外国人患者対応の実例として、▽短期滞在中に救急搬送され、手術・入院となり、医療費が1千万円を超えるが、海外旅行保険に加入しておらず、医療費の回収が困難なケース▽短期滞在中にペースメーカーの植え込み手術を希望する外国人のケース――を紹介。トラブル等が起こった際の支援として、厚生労働省および大阪府では「ワンストップ相談窓口」や多言語遠隔医療通訳サービスなどの事業を展開しているとして、活用を促した。
最後に、7年度より新事業として、「大阪府外国人患者受入れ医療機関整備事業」および「外国人患者受入れ医療機関における患者受入れ環境整備事業」が開始されると言及し、厚労省等の「外国人患者を受け入れる医療機関の情報を取りまとめたリスト」への登録を依頼。外国人患者対応の経験が不足する医療機関スタッフを対象とした研修事業もあると加え、持続可能な外国人医療提供体制の実現に向けて協力を呼びかけた。