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医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2025年4月16日 第3105号
大阪府医師会と大阪府の共催による「かかりつけ医等発達障がい対応力向上研修」が2月26日午後、府医会館で開催された。約100人が来館し、発達障がい児者支援に向けて知識を深めた。
はじめに、司会と座長を務める前川たかし理事があいさつ。発達障害を早期に発見して支援につなげるためには、かかりつけ医による適切な対応が必要だと語った。
まず、筒浦康正氏(大阪府福祉部障がい福祉室地域生活支援課参事)が、「大阪府の発達障がい児者支援施策について」と題し、発達障害を取り巻く状況や取り組みなどを伝えた。近年、発達障害と診断される人は大幅に増加しているとし、ライフステージごとの主な支援制度や支援施設を詳説。医療機関から相談機関につなぐ際の流れや相談窓口を示した。大阪府が実施する理解促進や初診待機解消に向けた事業のほか、医療機関によるネットワークなどを紹介し、支援に役立ててほしいと呼びかけた。
続いて、片山泰一氏(大阪大学大学院・連合小児発達学研究科長/分子生物遺伝学研究領域教授/附属子どものこころの分子統御機構研究センター長)が、「発達障がいを取り巻く現状と課題――医療から教育・支援まで」と題し登壇。発達障害かどうかの判断だけにとらわれず、他者と違いがあっても、違いによって困らなければよいといった考え方にシフトしてほしいと語った。発達障害の人と定型発達の人では神経回路に違いがあるが、その違いを客観的に理解して互いに合意することが大切と加えた。また、早期に障害に気付いて介入することで、予後の改善が期待できると指摘。小児期逆境体験に触れ、子どもの特性に合わない教育や子育てなどが脳の発育に与える悪影響を解説した。片山氏は、本人らしさを守るためのアセスメントの重要性を強調。「できること」「できないこと」の整理や問題行動を起こした理由を考える時などのヒントにもなると訴えた。