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医師・医療関係者のみなさまへ

将棋部だより

3月例会の成績 将棋は個性を磨く

府医ニュース

2025年4月16日 第3105号

 3月16日に今年2回目の例会を、大阪市中央区谷町の大阪府社会福祉会館で行った。荒れた天気で、早春の花々が雨に濡れていた。
 「春雨や蜂の巣つたふ屋根の漏り」と芭蕉は詠んだ。彼が詠むと、雨水も生きているように感じられる。我々は精魂込めて着手し、駒を躍動させるのである。
 岡本太郎は実母をモデルにして万博公園の「太陽の塔」を作った。「桜ばないのち一ぱいに咲くからに生命をかけてわが眺めたり」と詠んだ母かの子は、いつも明るく前向きで、生命力溢れる人だった。我々はいつも全力を尽くして戦う。そして深慮と忍耐の花を盤上に咲かせるのである。
 参加者は8人だった。万博を記念する駅伝のために、この日は御堂筋が車両通行止めになった。大幅に遅刻する者がいたので、手合い係の東森五段(平野区)が苦労した。
 「妙手は指し手の才能を示し、悪手は人間性を示す」という格言がある。将棋に各人の個性が現れることは事実で、それを棋風という。強くなるにつれて、棋風は顕著で明瞭となり、洗練されていく。
 今回は3人が3勝1敗で並んだ。規定により準会員四段が優勝、伊藤五段(野崎徳洲会病院/大東市)が2位、手島七段(和泉市)が3位になった。優勝者と2位者には気質に合う得意戦法があり、確立された棋風がある。他の参加者は佐野五段(豊中市)、青谷三段(高槻市)、準会員五段と二段だった。
 精神分析医のジャック・ラカンは「人の心は本来的に不調和であり、人が享楽を求めるのは、調和感を得たいからだ」と主張した。蔦屋重三郎が創造したのは、調和感を得させる享楽の文化だった。我々もまた心の調和を求める。しかし享楽によってではなく、修行によって得ようとするのである。

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報告 手島 愛雄(和泉市)