TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

調査委員会だよりNo.113

医師会の組織力強化のために

府医ニュース

2024年5月1日 第3071号

 令和4年6月発足の日本医師会執行部の最重要課題の一つは医師会のさらなる組織力強化である。中でも平成12年以降長年続く組織率低下傾向を上昇に転じさせるために、若手医師の入会促進が喫緊の課題である。
 大阪府の現況を示す。総務省統計局がウェブ上で公開しているe―Statから、令和4年の大阪府の年齢層別医師数を、また大阪府医師会発行の会員動態状況から4年9月30日時点での府医年齢層別会員数を得た。これらのデータを基に府医への入会率を計算すると、39歳以下では28%、40~49歳では50%、50~59歳では77%、60~69歳では95%、70歳以上では100%超であった(70歳以上はすでに臨床現場から退き、政府統計に未登録の会員が相当数存在するかもしれない)。70歳未満に限れば、府医の組織率は58%である。
 昨年10月に実施した府医会員意見調査で、「医師会の組織力強化のために、特に若手勤務医の入会促進のために、我々は何をすべきか」の問いに対して、1252人から回答を得た。
 各設問で最も頻度の高かった項目を年齢層別に示すと、59歳以下では「勤務医の労働条件等への積極的バックアップ」であった。特に39歳以下では57.7%と高率であった。日医・府医がすでに取り組んでいる「若手医師の会費無料化の拡充」はどの世代も概ね40%と高かった。60歳以上では「勤務医の転勤時の入退会手続きの簡略化」が高かった。これは卒後5年までの研修医・専攻医に多い転勤時に、その手続きの煩雑さから医師会を退会することに対する処方箋になり得るだろう。70歳以上では「医師会の活動内容を若手医師にもっとPRする」が最多だった。また、府医勤務医部会が昨年度からすでに取り組んでいる「若手勤務医部会の新設」は12~21%程度と全世代で比較的低かった。
 去る4月6日、府医主催で、コロナ禍で中断されていた新研修医ウェルカムパーティーが5年ぶりに開催され、医師会の活動内容を若手にPRできた。6年度は「医師の働き方改革」元年である。若手医師の医師会への入会促進には、会費負担の軽減のみならず、勤務医の働き方改革に対する医師会の積極的関与が期待されているようだ。彼らの入会を促進し、その会員資格を継続してもらうために、我々は何をすべきなのだろうか。

文 木島 祥行(堺市)