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時事

ケアマネジメントについての議論が開始

府医ニュース

2024年5月1日 第3071号

誰かがやらねばならないことを、どうするか

 4月15日、厚生労働省「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会」第1回の会合が開催された。高齢者の増加と支援ニーズの多様化・複雑化、深刻な人材不足の懸念を背景に、①介護支援専門員(ケアマネジャー、以下ケアマネ)の業務のあり方②人材確保・定着に向けた方策③法定研修のあり方④ケアマネジメントの質の向上に向けた取り組み――4つの論点が提示された。そしてケアマネを取り巻く現状の報告が、各種調査結果を交えて行われた。以下、抜粋して紹介する。
 ▽実務研修受講試験の受験者数は、平成29年度までは13万人前後であったが、30年度からの受験要件の見直し(介護等業務での実務経験者は除外され、法定資格保有者および相談援助業務経験者に限定)以降は5万人前後に大きく減少している。合格率は20%前後で、制度変更前後で大きな変化はなく、ここ3年の合格者数は1万人強である。
 ▽従事者数は、30年度の18万9754人をピークに減少傾向にあり、事業所数も、同年度をピークに減少している。一方で、支援受給者数は、30年度以降増加が続いている。
 ▽令和4年度調査でのケアマネ1人当たり担当利用者数は、31.8人(要介護26.9人、要支援4.9人)である。
 ▽直近1年間で、業務範囲外と考えられる依頼に対応した事業所が67.5%あった。理由は「緊急性が高かったため」が72.5%と最も多く、「他に対応できる人がいなかったため」57.2%、「利用者や家族から強い要望があったため」44.9%、「医療機関等、他の機関からの要請があったため」41.9%、「他サービスの利用料を負担できなかったため」23.3%、「他サービスとの連絡調整の負担が大きいため」が13.6%と続いていた。
 ▽ケアマネによる対応は「緊急訪問」「家族介護者本人に対する相談対応」「サービス調整に関わらない電話等への対応、時間外相談」が多い。さらに「介護保険以外の行政への手続きや申請の代行・支援」「入院・通院時の付き添い・送迎」「代読、代筆」「部屋の片づけ・ゴミ出し、買い物などの家事支援」「郵便・宅配便の受け取り・投函」「徘徊時の捜索(依頼)」「入退院手続きや支払いの代行・支援」「入院・入所中の着替えや必需品の調達」など、様々な対応がなされている。
 ▽ケアマネの新規確保が困難な要因としては、事業所・自治体ともに「賃金・処遇の低さ」「業務範囲の広さ」「事務負担の大きさ」が上位に挙げられている。
 これらを受けての意見交換では、▼業務範囲が広すぎる▼『何かあったらケアマネさん』となんでも屋になっている▼要望の多様化やクレーム対応等で多くのケアマネが疲弊している▼ケアマネが本来業務として捉えることと、利用者や他職種、他機関が求める役割の乖離が大きい――などから【業務の明確化・線引き】および本来業務外の業務に対する費用・報酬の検討を求める意見や、【十分な処遇改善】の要望が多く上がったと報じられている。
 ケアマネの役割とは何か? 利用者および関係者の意識やニーズとどうすり合わせるか。線引きの結果、業務外となったことは誰が担うのか。報酬はどうするか。大胆な見直しが迫られている。(学)