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医師・医療関係者のみなさまへ

脳血管疾患患者の在宅療養支援研修会

府医ニュース

2024年5月1日 第3071号

多職種連携と患者・家族の主体性を

 大阪府医師会は2月24日午後、令和5年度大阪府在宅医療総合支援事業の一環として、「脳血管疾患患者の在宅療養支援研修会」を開催。在宅医療に関わる多職種が、府医会館とウェブで約120人受講した。

 小田真氏(府医介護・高齢者福祉委員会委員)が座長を務め、中尾正俊副会長が開会あいさつ。患者が在宅で安心して過ごすには、医療・介護・福祉の連携が重要と語り、研修会が今後の支援の一助になればと期待を寄せた。
 はじめに、伊藤守氏(いとうまもる診療所院長)が「脳卒中患者の在宅療養管理と多職種連携」について講演した。伊藤氏は厚生労働省の調査を提示し、重度要介護者や療養病床の入院患者の原因疾患は、脳血管疾患が最多で、在宅医療においても基本的疾患と解説。在宅に移る際には、加齢に伴い上昇する再発リスクや、患者・家族の気持ちと課題、リハビリの具体的目標などに関して、患者・家族と多職種でACP(アドバンス・ケア・プランニング/人生会議)を行うことが有意と説明した。あわせて、再発予防が在宅療養の基本と述べ、日医かかりつけ医機能研修による知識習得を勧めた。また、多職種が連携に用いる書類を列挙し、医師の能動的関与を求めた。
 最後に、①共通目的②情報共有③協力的役割分担――の下で連携を図るツールとしてSNSを推奨。双方向でリアルタイムに情報共有が行えるとアドバイスした。
 次に山田剛氏(つながる訪問看護ステーション作業療法士)が、「生活リハビリの実際――回復期リハと生活期リハの違いと共通点について」と題し登壇した。
 まず、訪問看護における連携の工夫を説示。利用者への訪問回数・人員が限られるため、事業所内でアセスメントを共有していると明かした。また、「活動と参加へのアプローチ」を共通概念に、病院と在宅のリハビリが継続性を持ち、患者や家族も主体的に取り組むことが必要と訴えた。さらに、よりつながるために▽個別性の重視▽生活機能全般の向上▽活動・参加に多職種でアプローチ▽計画的実施▽マネジメント――の実践を提議した。