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府医ニュース
2024年3月27日 第3067号
現在、韓国では医師数増員に関しての国民的議論が沸騰している。医師増加は、需要と供給の単純な関係から、増加すれば少ないところが満たされるという、国民には分かりやすい政治論理でユン・ソンニョル大統領は進めている。これに対しては医師の9割が加入する韓国医師会が反対の意志を表明している。事の次第は各自調査していただくとして、今回は韓国の医療機関に認められている営利事業について調べてみた。
民営化は主に、医療サービスの活性化と国際競争力の強化が当初の目的であった。しかし結果的に国民医療費削減にはつながっていないし、医師偏在も加速した。一般的に営利であれば需要と供給の関係で、労働環境が悪いと賃金が上がりそうな気もするが、そんな簡単なものではないようだ。
9割が民営化病院である韓国においては、自由診療、診療科、また医療機関同士の競争によっても収益が変化する。また、医療事故や訴訟のリスクは科によっても変化するため、労働環境が各医療機関によって異なってくる。さらに、地方と都市部でも環境が違う。
このように営利はすべての医師にとって公平ではない状態を生んでいる。このような不公平な環境が生む医師の偏在解決のために、単純に医師数を増やすことは根本的解決にはならず、労働環境が悪い医師にとっては耐え難いという反対意見である。韓国は地政学的にも日本と異なり、民営化を推進する土壌があることを十分考慮する必要があるが、医師偏在はそれぞれのお国事情がある難しい問題だ。(晴)