TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

時事

OTC検査薬の議論進む

府医ニュース

2024年3月27日 第3067号

セルフ○○○の潮流とどう向き合うか

 3月11日、厚生労働省「薬事・食品衛生審議会(医療機器・体外診断薬部会)」が開催され、日本OTC医薬品協会および日本臨床検査薬協会から「一般用検査薬に係る血液検体に関するガイドライン(案)」が提示された。
 一般用検査薬、いわゆるOTC検査薬とは、体外診断用医薬品のうち、一般用医薬品としての取り扱いが認められているものを指す。1991年に尿糖・尿蛋白、92年に妊娠検査、2016年には排卵日予測検査が承認されていた。いずれも検体は尿である。22年には、鼻腔ぬぐい液または唾液を検体とする新型コロナウイルス抗原定性検査キット、さらに鼻腔ぬぐい液によるインフルエンザとの同時検査キットが承認されている。
 OTC検査の検体については、14年に発出された、一般用検査薬の導入に関する一般原則を示した厚労省通知により「尿、糞便、鼻汁、唾液、涙液など採取に際して侵襲のないものが適当」とされてきた。穿刺血は侵襲があるものとされ対象外であったが、昨年9月の部会会合において、対象に加えることの是非について議論が開始された。
 今回の会合では、ランセットでの穿刺血を用いた、グルコース、HbA1c、T―CHO、HDL―C、LDL―C、TG(測定器による定量測定、または一部はプレートでの半定量測定)、およびアレルゲン特異IgE(プレートでの定性判定)検査を想定したガイドライン案が検討された。
 販売できるのは、高度管理医療機器等販売業許可を取得している薬局・店舗販売業(薬剤師勤務)のみで、販売時には、薬剤師が「購入時チェックシート」を用いて販売の可否を判断するとしている。出血性血液疾患を有していたり、抗血栓薬・抗血小板薬・抗凝固薬等を服用している場合は販売しないが、それ以外の薬の場合も、薬剤師が確認し可否を判断する。そして、穿刺方法、廃棄方法、測定結果の見方、適正使用等について、チェックシートを用いて説明や教育を行うとなっている。チェックシートには販売者の氏名、連絡先など店舗情報の記載があることとし、ネット販売においても適用されるため、電話やウェブを用いて薬剤師から適切な説明・確認を行う必要があるとした。
 当日は受診勧奨に関する議論が活発に行われ、引き続き検討されることになったと報じられている。
 さて、翌3月12日には、同省の「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」が開催され、PPI(プロトンポンプ・インヒビター)等のスイッチOTC化についての議論が行われている。また、民間では、ウェアラブルデバイス(手首などに装着するコンピューターデバイス)による心拍や睡眠時間などの捕捉や運動の記録、さらにはスマートフォンのアプリを駆使したライフログ(行動履歴)活用の進化も著しい。
 我々の診療は、セルフチェック、セルフモニタリング、セルフメディケーション等によるヘルスケアセルフマネジメントの流れとどのような関係性を築いていくのか、考えねばならない時期に来ている。(学)