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認知症サポート医フォローアップ研修

府医ニュース

2024年3月27日 第3067号

活動内容や役割など解説

 大阪府医師会・大阪府・大阪市主催による令和5年度「第2回認知症サポート医フォローアップ研修」が2月10日午後、府医会館で開催された。本研修会はウェブとのハイブリッド形式により実施され、認知症サポート医を中心に約300人が参加した。

 開会にあたり中尾正俊副会長があいさつ。2025年には65歳以上の5人に1人が認知症を発症するとの予測に触れ、困難事例の増加を懸念した。一方で、各地域において認知症初期集中支援事業が推進されており、認知症サポート医が中心的な役割を果たしていると指摘。診断・治療から介護サービスなど様々な支援の円滑な提供に貢献することが求められていると述べ、一層の協力を求めた。その上で、府医としてもフォローアップ研修の充実に努めていくと力を込めた。

認知症施策から今後の展望を紐解く

 研修会は、辻正純氏(府医介護・高齢者福祉委員会委員)が座長を務め、まず、中西亜紀氏(厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課長補佐〈医系技官〉)が、「認知症施策の方向性――共生社会の実現を推進するための認知症基本法が成立して」と題して講演した。
 中西氏はこれまでの認知症施策に関する取り組みを振り返りつつ、令和元年6月に取りまとめられた「認知症施策推進大綱」を紹介した。具体的施策として、①普及啓発・本人発信支援②予防③医療・ケア・介護サービス・介護者への支援④認知症バリアフリーの推進・若年性認知症の人への支援・社会参加支援⑤研究開発・産業促進・国際展開――の5つの柱で推進を図っていると強調した。
 さらに、5年5月14日に開催された「G7長崎保健大臣会合開催記念認知症シンポジウム」や、同年6月14日に成立した「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」の概要を説明した。

認知症サポート医が地域連携支える

 引き続き、「認知症サポート医の活動と歴史」と題して、堀部賢太郎氏(国立長寿医療研究センターもの忘れセンター連携システム室長)が登壇。認知症サポート医の役割を説示するとともに、「地域における認知症サポート医のあり方に関する調査研究事業」(※)より▽サポート医▽都道府県・指定市▽市町村――それぞれに実施したアンケート結果を示し、解説を加えた。
 また、平成28年には、認知症サポート指導料などの名目でサポート医が診療報酬にも反映され、養成研修への参加者は増加。認知症サポート医が病気を診るという枠組みを超えて、「地域連携を支える位置付けになっている」と強調した。
 一方で、都道府県や市町村からは、「サポート医の業務範囲や連携の仕方が分からない」などの声があるとして、課題の解消に努めていきたいと締めくくった。

※令和3年度老人保健事業推進費等補助金を活用し国立長寿医療研究センターが主体となり実施。認知症サポート医のあり方についての実態調査に基づき、具体的な活動や活用の仕方をまとめた。