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府医ニュース
2023年10月18日 第3051号
大阪府医師会は9月30日午後、大阪府在宅医療総合支援事業の一環として、在宅療養における健康管理研修会を府医会館で開催。当日は、「在宅療養におけるリハビリ・口腔・栄養の各種の取り組み」をテーマとし、会場とウェブのハイブリッド形式で、会員および在宅医療に関わる多職種など約200人が参加した。
開会にあたり、中尾正俊副会長があいさつ。在宅で療養生活を送る人々に対して、リハビリテーション・口腔ケア・栄養を一体的に提供することの重要性が指摘されているとし、本研修会が日常の在宅医療・サービス提供のさらなる推進に寄与できればと述べた。
川邉正和氏(府医介護・高齢者福祉委員会委員/かわべクリニック院長)が座長を務め、大根茂夫氏(大阪保健医療大学言語聴覚専攻科教授)が「摂食嚥下障害のリハビリテーションについて」と題して講演。まず、摂食嚥下障害を改善するための訓練は、機能改善を目的とした「間接訓練」と食品を摂取する「直接訓練」に大別されると説明した。
食べる機能を再学習するには、実際に食べることを通しての練習が必要だと指摘。一方で、「食べることは誤嚥や窒息のリスクがあり、直接訓練を行うには一定の条件が整わないと難しい」と述べ、条件を示した。
そのほか、直接訓練時の嚥下姿勢と嚥下方法の例や直接訓練の導入における注意点などを詳説した。
続いて、山下政代氏(大阪府歯科衛生士会訪問口腔健康管理委員会アドバイザー)が「在宅療養患者の口腔ケア」について解説。口腔健康管理は急性期から終末期までステージによって特徴があり、多職種と連携をとりながら行うものと語った。
また、口腔ケアの手順をはじめ、▽口腔ケア時の姿勢▽口腔観察のポイント▽義歯着脱のコツ▽うがいの効果▽歯ブラシの選び方・使い方――などを紹介。口腔機能低下予防や維持のためには、生活の中で唾液腺マッサージや早口言葉などのリハビリを行うことが大切と呼びかけた。
次に、水島美保氏(機能強化型認定栄養ケアステーション在宅栄養もぐもぐ大阪責任者)が「在宅療養生活を守る栄養ケア」を説明した。
はじめに要支援・要介護者の栄養状態に関する調査結果を提示。「低栄養および低栄養の恐れあり」に該当する人が約8割に上り、栄養状態の悪さは深刻な状況にあると憂慮した。
さらに低栄養状態を把握する指標に関しては、体重減少のほかBMI、血液検査のアルブミン値、褥瘡、握力などが用いられると説述。また、リハビリを行う際には、それに見合うだけの栄養をしっかり摂ることが必須であると加え、注意を促した。
講演後には、演者がパネリストとなり、「在宅療養者の健康管理における多職種連携」について討論が行われた。それぞれの立場から在宅療養での工夫を紹介。多職種が情報を共有して患者を支えることが重要との認識が確認された。