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医師・医療関係者のみなさまへ

在宅医療における感染対策研修会

府医ニュース

2023年9月27日 第3049号

施設へのクラスター支援を解説

 大阪府医師会は8月23日午後、大阪府在宅医療総合支援事業の一環として、令和5年度「在宅医療における感染対策研修会」を府医会館で開催。この日は会場とウェブの併用で、会員および在宅医療に関わる多職種など約250人が受講した。

 座長は、小林正宜氏(府医介護・高齢者福祉委員会委員/訪問診療チームKISA2隊大阪隊長/葛西医院長)が務め、冒頭、前川たかし理事があいさつ。本研修会を通して施設等での感染対策や感染症流行時の多職種連携に関する知識を深め、新型コロナウイルス感染症等への対応に役立ててほしいと期待を寄せた。
 次に、飯野貴明氏(訪問診療チームKISA2隊大阪クラスター支援部隊長/葛西医院医師)が、「KISA2隊大阪流・コロナ療養者を救う多職種連携」と題して講演。まず、新型コロナの5類移行前における自宅療養者への往診体制などを振り返った。また、施設へのクラスター支援を解説。飯野氏は「適切な感染対策ができていれば、クラスターには至らない」と述べ、①持ち込まない②広げない③重症化させない――ための対策を示した。5類移行後のクラスター対策では、「どこまで制限するか」を根拠に判断することが重要と強調。有事を想定し、日々のケアの見直しや優先度を考えておく必要があると伝えた。
 続いて、金児大地氏(訪問診療チームKISA2隊大阪クラスター支援部隊/株式会社familink代表取締役/理学療法士)が「クラスター発生時における支援者との関わり方――100を超える支援を通して感じたこと/分かったこと」をテーマに登壇。クラスター発生時には「施設職員は心も体も疲弊している」とし、まずは「誰も悪くない」と承認してあげることが大切と語った。その上で、施設に介入する際の流れを詳説。「振り返り支援」では、介入後も自助の力で乗り切れるように支援を行っているとした。最後に、KISA2隊の活動は「現場の状況に合わせた支援」「多職種で連携し包括的な支援」を心がけているとし、大阪市モデルを応用して「支援の輪」が全国に広がってほしいと述べた。
 講演終了後には、講師と座長の小林氏が登壇。クラスター発生時に施設職員へ支援を行う際の注意点やこれまでの失敗例などを、寸劇を交えて説明した。