
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2023年9月27日 第3049号
8月12日、酒井國男・元大阪府医師会長がご逝去されました。80歳でした。酒井執行部で理事を務め、現在は郡市区等医師会長として活躍されている久禮三子雄・岸和田市医師会長、小菓裕成・交野市医師会長より追悼文の寄稿がありましたので、紹介いたします。
酒井先生とのご縁は平成20年の第3期の酒井執行部に参画させていただいてからである。会内が割れた困難な時代を先生の下で会務をご指導いただき、時間を共有できたことは貴重な経験であった。
18年の日本医師会長選挙で植松治雄先生が東京都医師会の候補に敗れ、日医会長選挙の後処理で敗戦総括を求める植松先生と、選挙を支えた医事懇話会の由利嘉章、三好勝両先生ら長老との行き違いがあり、後に酒井先生が日医新執行部との関係修復に腐心されたことが府医を分断することになった。
第3期酒井執行部の2年間は緊張の中にあった。二十数回の会長協議会、数回の代議員会では、協議案件は反対のための反対が滔々と述べられ、殺伐とした雰囲気にあった。先生は激することなく、臆することなく、泰然自若として臨まれておられた。議論が激するほどに大人の風格が滲む言葉を発せられた方であった。
22年の府医選挙代議員会で敗れた後に、自ら伯井俊明新会長に歩み寄られ、握手を求め、代議員にワンオーサカを訴えられた光景はいまだ脳裡に甦る。思えば、絶えず医師会がひとつにまとまらなければ力を出せないと、会内融和を求め、覇道を求めず王道を歩まれたお方であった。
会長を辞された後も、かつての執行部メンバーや旧職員を自宅に招かれ自ら手料理を振る舞われる健啖家でもあられた。晩年は病に見舞われ随分お痩せになったが、いつまでも笑顔を絶やさず話を聞いてくださる姿勢に変わりがなかった。叙勲記念のお祝い会でも、弱られた身を凛として背筋を伸ばされ会衆にごあいさつされるお姿が心に残る。
ご冥福をお祈りします。合掌。
【府医理事時代の会務担当】
平成20年4月~22年3月:産業保健、厚生福利、医療情報
ご逝去を悼み心からご冥福をお祈りいたします。私は2期4年間、酒井先生とともに大阪府医師会執行部で仕事をさせていただきました。言うまでもなく府医役員の業務は超多忙で、決めなければならない事案が山積。そんな中、当時は府医会館裏の駐車場に喫煙場所がありまして、一緒に一息つきながら酒井先生に色々な助言をいただきピンチを切り抜けたものです。この時ほどタバコを吸っていて良かったと思ったことはありませんでした。先生は事案の方向性だけ示され、あとは理事権限で落としどころは私に任せてくれました。同時に私の発言は府医の見解になるので、この言葉だけは絶対に言っては駄目とも教えてくださいました。
執行部が一堂に会する会議や催し物のあとは、ほぼ毎回皆で飲食を楽しみ、話をしたものです。酒井先生の温厚さもあり、理事末席の私もすぐに先輩理事と打ち解けることができました。先生のご自宅で誕生日会があった時にイクラを持参したのですが、気に入られたようで後日購入方法を教えてほしいと言われ、私は大変喜んだことを思い出します。
理事2期目に介護・高齢者福祉を担当し、大阪府介護支援専門員協会や日本医師会介護保険委員会に参画した経験を生かし、交野市で多職種連携の構築ができたことに感謝しています。
まだまだ未熟な私ですが先生の教えを心に刻み、会員のため市民のために色々なことを考え実行していきたいと思います。酒井先生、ありがとうございました。
【府医理事時代の会務担当】
平成18年4月~20年3月:労災・自賠責、厚生福利
平成20年4月~22年3月:介護・高齢者福祉、健康づくり
次号は、井藤尚之・平野区医師会長、有賀秀治・城東区医師会理事より寄稿の追悼文を紹介します。