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時事

第551回中医協総会開催

府医ニュース

2023年9月27日 第3049号

小児医療について

 令和5年8月2日に第551回中央社会保険医療協議会(中医協)総会が開催され、小児医療について議事が行われた。まず、出生数・出生率の減少傾向、15歳未満人口と全人口に占める割合の減少は大きいが、15歳未満の外来患者数の減少は大きくなく、医科では平成17年の624万9千人に対して令和2年では600万9千人であった。一方、15歳未満の入院患者数は年々減少傾向で、昭和62年62万3千人、平成17年の33万5千人に対して令和2年では22万9千人であった。すなわち、15歳未満の入院における受療率は低下しているが、外来においては上昇している。15歳未満における推計患者数の傷病名順位では外来と入院において平成20年から令和2年にかけて、上位を占めている傷病名に大きな変化はなかった。
 小児科を標榜している病院数は減少している一方、小児科を主として標榜する診療所の数は横ばいである。病院、診療所に勤務する小児科医師数は増加傾向にあり、特に病院小児科については集約化が進んできていると考えられる。年齢階級別に1人当たり医療費の伸びを見ると、10年前と比べ、入院、入院外ともに医療費は多くの年齢層で増加しており、15歳未満においても増加していた。
 全国の医療的ケア児(在宅)の推計値(0~19歳)は平成17年の9987人に対して令和3年には2万180人と倍増している。3年6月18日公布・同年9月18日施行の「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」第2条において「医療的ケア」とは、人工呼吸器による呼吸管理、喀痰吸引その他の医療行為をいう。「医療的ケア児」とは、日常生活及び社会生活を営むために恒常的に医療的ケアを受けることが不可欠である児童(18歳未満の者及び18歳以上の者であって高等学校等に在籍するものをいう)とされている。
 年齢階級別の医療的ケア児数は、低年齢ほど人数が多く、0~4歳が最も多い。人工呼吸器を必要とする児数は、直近9年で約2.7倍に増加し、0~4歳が最も多い。在宅における医療的ケア児とその家族を支えるため、NICU(新生児集中治療室)・GCU(新生児回復室)から在宅へ円滑に移行するための支援や地域における生活の基盤整備等の在宅生活支援、医療的ケア児を受け入れる障害児通所、保育園、学校等の基盤整備といった社会生活支援、経済的支援等の取り組みが実施されている。『疾病・事業及び在宅医療に係る医療体制について(5年医政地発0331第14号)』において、目指すべき方向として療養・養育支援が可能な体制が示された。すなわち、①医療的ケア児が入院する医療機関において、児の入院後、現在の病状および今後予想される状態等について家族等と話合いを開始し、退院後の療養上必要な事項について説明するとともに、退院・転院後の療養生活を担う医療機関や訪問看護事業所等との連絡や調整、福祉サービスの導入に係る支援等を行う体制②退院後の医療的ケア児等の緊急入院に対応できる体制③退院後の医療的ケア児等の保護者の負担を軽減するための、レスパイト等の受け入れ体制――を示した。医師会の積極的関与が必要と考える。(中)