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医師・医療関係者のみなさまへ

第3回感染症対策研修会

府医ニュース

2023年9月20日 第3048号

5類移行後の留意点など解説

 大阪府医師会は8月26日午後、大阪府より受託した「外来対応医療機関確保事業」の一環として、第3回感染症対策研修会を開催。第1回は西浦博氏(京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻環境衛生学分野教授)、第2回は忽那賢志氏(大阪大学大学院医学系研究科感染制御学教授)が登壇した(本紙第3046号/8月30日付で既報)。最終となる今回は、釜萢敏氏(日本医師会常任理事)が「新型コロナウイルス感染症――現状と外来対応医療機関を中心とした対応」と題して講演。府医会館とウェブの併用で実施し、約200人が受講した。

新型コロナ外来
7割強が「かかりつけ」以外にも対応

 宮川松剛理事が司会を務め、はじめに高井康之会長があいさつ。外来対応医療機関の指定申請を検討中の医療機関、すでに新型コロナに対応している医療機関にとっても本研修会が参考になればと期待を寄せた。
 釜萢・日医常任理事は、新型コロナの直近の感染状況に言及。新規患者報告数は第31週(7月31日~8月6日)、第32週(8月7日~13日)と2週連続して減少したが、第33週(8月14日~20日)は増加したと報告。大阪府でも同様に増加に転じており、今後も注視が必要と語った。また、新規入院患者数および重症者数においても増加傾向で「決して侮れない状況」と注意を喚起。新型コロナは季節性インフルエンザとは違うと認識した上で対応する必要があると説いた。あわせて、現在検出される多くはオミクロン株亜系統のEG.5.1であり、その動向に注目していると述べた。
 次に、コロナワクチン接種に関する日医の見解に触れた。秋冬に向けて希望者全員の接種が可能な状況を確保する国の方針は心強いと説述。来年以降も自己負担が極力増えない形で継続していくべきとの考えを示した。
 続いて、外来での新型コロナ対応を詳説。外来対応医療機関数の増加や、全国の外来対応医療機関の7割強が「かかりつけの患者以外」も受け入れると表明している現状に謝意を伝えた。そのほか、5類移行後の外来診療体制に関する日本環境感染学会の見解や日米のインフルエンザ、コロナ患者の感染管理に対するガイドラインなどを紹介。5類移行後の診療・検査における注意点を挙げた。
 今後の新型コロナ対策に関する支援については、「9月30日で治療薬の公費負担での取り扱いが終了しないよう国に強く要請している」など継続して調整していると明かした。なお、9月14日時点で国は方針を明確に示していない。

医療提供体制に負荷も
基本的な感染対策必要

 今後の感染の見通しでは、今夏の新規感染者の増加が続く可能性があり、医療提供体制の負荷を増大させる場合も考えられると説示。感染動向等の重層的な把握をはじめ、重症化リスクの高い方へのワクチン接種、換気に配慮することやマスクの効果的な場面での着用など基本的な感染対策に関する広報の強化等を進めていくと締めくくった。